■レディーボーデンの復権

 アイスクリームやソフトクリームが好きだ。

 といっても滅多に食べない。カロリーを気にしてというのもあるが、むしろ、おいしいものが少ないというのが大きな理由だ。

 今や、おいしいアイスクリームというとハーゲンダッツの独壇場のようになっているが、どうも私の口には合わない。そして、他を見回してみても、まともなアイスクリームというのは、その辺のスーパーにはほとんど売っていないのである。

 関西では高級スーパーとして有名な「いかりスーパーマーケット」の自社ブランドのアイスクリームを人に勧められて買ってみたけれど、これももう一つ納得できなかった(し、蓋の金色がどんどん剝がれてくるのに閉口した)。

(そういえば、いかりはダイエーの軍門に下ったのだが、ダイエーも怪しくなってイオンの軍門に下った今、資本関係は一体どうなっているんだろう?)

 ところが、先日行った、客が高齢者ばかりの商店街の中にあるスーパーで、珍しく「レディボーデン」(商標としては「レディーボーデン」らしいので以下それに従う)を見つけ、1パイントが300円未満とちょっとびっくりするぐらい安かったので、試しにと買ってみた。

 レディーボーデンといえば、貧しかった日本の歴史に終止符を打つように、燦然と舞い降りてきた高級アイスクリームのブランドである。
 だが、豊かになるにつれてそのありがたみは薄れ、私の中でも既に過去のものとなっていた。実際、スーパーでもほとんど見かけなくなっていたように思う。

 調べてみると、懐かしいパッケージがそのまま(に見える)のこのアイスクリームは、紆余曲折を経て実際一時は市場から姿を消していたらしい。そして、現在はロッテが製造・販売しているという。
 レディーボーデンといえば明治乳業だと思っていた身には、またも資本の論理に驚かされた。

 さて本題。

 この新しいレディーボーデン、私は基本的にバニラしか食べないが、けっこうおいしいのである。少なくとも、ハーゲンダッツよりは口に合うし、値段は半額以下だった。
 気になるのは、原材料名欄にごちゃごちゃいろんなものが書いてあることと、卵黄が含まれていないことだが、純粋にアイスクリームを味わうだけなら、私程度の舌は簡単に騙されてしまう。卵だって入っているような気がする。

 これに卵を入れて、乳化剤やら着色料やら使わない本物のアイスクリームにしてくれればもっとファンになると思うのだが、そうすると現在よりまずくなるのだろうか。
 少しぐらい高くてもいいから、ぜひ本物のアイスクリームを食べさせてほしい。

 レディーボーデン・プレミアム・・・なんていかがでしょうか、ロッテ様。