■これが日本の「全力」か

 昨日召集された第187臨時国会において、所信表明演説に先だって御嶽山の噴火に触れた安倍首相は「救助活動に全力を挙げる」と述べた(sankei.jp)。

 だが、救助活動は遅々として進んでいない。

 いや、噴火活動や天候が救助・捜索活動を許さず、待機せざるを得ないのは仕方ないのかもしれない。
 また、困難な環境の中、現地で働いている人たちは実際にほとんど「全力」で取り組んでいらっしゃるんだろうと思う。

 だがたとえば、今日初めて投入され、結局飛べなかったチヌーク(大型輸送ヘリ)は、どうして、一昨日や昨日に使わなかったのだろうか。その2日間なら飛べたはずだ。
 あるいはまた、昨日搬送に使われたブラックホーク(救難ヘリ)。結局、1日で8人しか運べなかったようだが、どうしてなのか(後記:これとは別に、少なくとも7人の生存者を運んでいるようです)。

 今日投入された(けれども環境が許さず飛べなかった)チヌークは2機だそうである。
 調べてみると、昨日はブラックホークが3機使われたらしい。

 昨日例えば救難ヘリを6機とか10機とか飛ばしていれば、そしてチヌークを補助的に使っていれば、もしかするとすでに発見されている人たちは全員運べたかもしれない(後記:岩に挟まれたりしている人たちなどがいるので、それは難しいようです)。
 昨日だって、噴火から2日後だったのだ。準備して投入するだけの猶予はあったはずである。
 もっとも気になっているのは、報道のヘリに対して座り込んだまま手を振っていた人だ。あの人は救助されたのだろうか。

 素人目には、とても「全力を挙げ」ているようには見えない。自衛隊は陸海空で計100機以上のブラックホークと数十機のチヌークを保有しているはずで、もちろん今は、どことも戦争しておらず、ほかに救助すべき大災害も国内にはない。
 燃料や人員の調達に困難もあろうが、「全力」を出すなら何の問題もないはずだ。

 繰り返すが、現場で汗を流している人たちには本当に頭が下がる。
 しかし、最高司令官である安倍首相を始め、救助を司令する立場にある人たちは、果たして「全力」を出す気があるのだろうか。現在の救助活動が日本の「全力」なのか。

 あるいは、コストがかかりすぎるから、最小限の装備しか使っていないのか。「昨日は救難機3機だけ、今日は(「全力」と表明したから??)大型機2機追加」というのでは、ほとんど最小限にしか見えない。
 もしそうなら、あるいは、最小限ではないにしても大幅にセーブしてるなら、軽々しく「救助活動に全力を挙げる」などと大見得を切ってほしくない。
 被害に遭った人たちや待っている家族のことを思うと、いたたまれなくなる。