●とうとう「当たり」?

 世を賑わす食品偽装。

 雪印ハンナンフォルクスとかミートホープ船場吉兆三笠フーズ・・・ これまでさんざん発覚してお詫びやら倒産やらを繰り返してきているのに、懲りもせずにいまだにこれだけの広がりがあるというのは、ほとんど信じがたく、情けない。

 嘘を嫌う文化の中に住んでいると思っていたのだが、どうやら違うらしい。
 かなりどうしようもない場合でも、「嘘にはならない範囲で」というのが最低限のモラルだと思っていたのだが・・・
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 それにしても、日本中(特に関西)でこれだけ偽装があるにもかかわらず、ただの一つも食べたことがないのにはちょっと複雑な気分だった。
 次々と明らかになる不正が、いずれも一流?のレストランやデパートやホテルなので、まったく縁がないのである。

 この際、「ああ、やっぱり・・・。どうも車エビ(フレッシュジュース・九条ねぎ・からすみ・和牛・・・)にしてはおかしいと思ってたんだよなあ」とか言ってみたいのだが、まったく食べたことがないんだから話にならない。

 それがとうとう、私も飲んだ?食品の偽装が明らかになった(注:間違いでした。《後記》をご参照ください)。
 ちょっと嬉しいのが妙である。

 だがそれは、優雅な一流食品ではない。一升で千円もしない日本酒だ。

 「富久娘酒造(神戸市灘区)が《中略》醸造アルコールを混入した酒を純米酒などと表示したり・・・」(朝日新聞)というあれである。

 うちの家族は全員まったく日本酒を飲まないので、買ったのは料理用としてだ。それでも、安価な「米だけの酒」は魅力的で、ときどき購入している。
 そもそも酒として飲まないんだから味などわかりようがないのだが、「原材料:米(日本産) 米こうじ(日本産米)」とだけ書かれた「米だけの酒」には、一定の信憑を置いていた。

 そこに「醸造アルコールを混入していた」というのである。

 「違いのわからない消費者にも問題がある」などという論調がごく?一部にはあるが、料理に入れた酒が米と米麹だけから作られているかどうかなんて、いかな利き酒の名手にもわからないはずで、こちらは安心して製造元を追及することができる。

 まあそれでも、実際のモノより空疎な言葉に踊らされている自分の愚かさの弁解にはならないんだけれど。
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 今キッチンにある別のメーカーの料理酒にもやはり「米だけの酒」と大書してあるのだが、こちらは正直に、その横に小さく「本品は純米酒の規格に該当していません」と書いてある。
 「純米酒」と書かないだけでたぶん法的には問題ないと思うのだが、わざわざ正直に断りを入れている点が気に入って買った(まさか醸造アルコールは使ってないだろうな)。

 愚かな消費者にだって、それくらいの見識はあるのだ。

 愚かならざる生産者、わけても「職人」においては、誇りと見識をもって製造にあたってもらいたい。

《後記》今日、ひょんなこと(もう出荷停止になっているはずなのに堂々と売られていた)から、うちが買っていた「米だけの酒」は富久娘酒造のものではないことがわかりました。これに伴い、エントリの一部を削除・訂正しました。お詫び致します。
 「まだ」偽装食品に当たっていないことになりますね・・・
 現実の富久娘の「米だけの酒」にも「本品は純米酒の規格に該当していません」の表示があるようです。そこは正直でも、「醸造アルコールを混入し」たりする。何を信用していいのかわかりません。