◆大阪市長が八尾空港にオスプレイを誘致??

 地元のアホな政治家が、自身の本音に基づく「失言」への矛先をそらす目的なのか(すみません、これは憶測です)、また別の物議を醸すようなことを言い出している。

 「垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練の一部を、八尾空港大阪府八尾市)で受け入れる」(mainichi.jp)というものだ。

 だいたい、国土交通省管理の八尾市にある空港なのに、大阪市長!が受け入れるも何もないものである。

 大阪市上空も飛ぶことになるから拒否するとかいうのならまだ理解できるけれど。
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 以上で話は終わりなのだが、アホな男がまたバカなことを・・・で終わらないのが困った。
 八尾市長はすでに反対を表明しているのに、首相は橋下氏に「ぜひ検討させていただきたい」と応じた(同)そうだ。

 そもそも、「オスプレイの訓練の一部を受け入れる」というのは具体的に何を意味しているのか。

 たまに離着陸する程度なら、現行の法制度や条約下で別に何の制限もない(訂正:法律や条約は大丈夫ですが、八尾空港自体の重量制限に引っかかるようです)。実際、私ですら八尾で訓練中の米軍機と遭遇したこともある

 それでもオスプレイが実際に来ると騒ぎになるからあらかじめ「受け入れ」を言うのだろうか。

 いや、そうではなくて、ある種の訓練「拠点」にするという話なのだろうと思う。
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 ほとんどの人はご存じないだろうが、八尾空港というのは、日本でもっとも「忙しい」空港の一つである。
 まあ、率直に言って、わりと「どうでもいい」飛行機やヘリの離発着が多いのだが、訓練のためのタッチアンドゴー(着陸してすぐ離陸する)が多いせいもあって、民間空港の中では10本の指に入るのではないだろうか。

 アマチュアパイロットの拠点となっているため、ものすごく下手なパイロットや遅い飛行機も多い(耳が痛いな・・・)。

 そして何より、市街地に存在する。
 (個人的な思いは別にして)客観的に判断すれば、大阪空港と並んで、廃止すべき空港の一つではないかとすら思う。

 普天間で迷惑だ危険だと言われている飛行機を、同じような危ない場所にある空港に持ってきてどうするのか。

 「危険を分かち合いましょう」という姿勢を演出したいのかもしれないが、むしろ危険を減らすための努力をすべきだろう。

 オスプレイの配備そのものの是非は一応措くとして、かつ、仮に普天間と岩国以外にも離発着する空港が必要だとしても、八尾空港というのは最悪の選択の一つである。

 「もし」関西に離発着の拠点が「どうしても」必要だというのであれば、たとえば南紀白浜空港が考えられる。立派な滑走路を持っていて、飛行ルートに危険も少なく、ちょうど、オレンジルートの東端にも近い。

 あるいは、「白浜では立派な滑走路とターミナルビル以外何もなくて・・・」というのなら、海上自衛隊徳島航空基地があり、自衛隊が航空管制を行っている徳島空港も近くにある。ただ、こちらは空港東側は海だが、西側には市街地もある。

 関西国際空港神戸空港ですら、八尾とは比べものにならないくらいの候補になると思う(そういえば、一時、関西の名前も出ていましたね)。

 いや、もちろん、白浜や徳島や関西空港なんかにオスプレイを誘致すべきだというのではまったくない。

 あくまでも、八尾に呼ぶぐらいなら数十倍マシで影響が少ないということであって、白浜や徳島の人たちだって、迷惑には違いない。

 しかし、八尾は間違いなく最悪の選択の一つである。

 どうしてこんな愚かな発想が出てくるのかと、心底不思議に思う。


 《後記》

 朝日新聞の夕刊によると、橋下氏は「この構想が実現可能性があるかどうかわからない」と語ったそうである。何という無責任な。
 だが、それに続き「これをきっかけに本州の至る所の空港を検討対象にあげてもらって進めていけばいいのでは」と「記者団に述べた」という。
 橋下流の、出鱈目で無責任な爆弾発言で物議を醸し、その騒ぎを突破口にして・・・という、いつもの悪辣な手法が見てとれる。

 ということはしかし・・・ アホな男の術中にはまった愚かな男が私、ということになろうか。