■暑中寒

 5日の富田林は夏の陽気で快晴だった。気温は 28℃ぐらい。これ以上暑くなったら散策が不快になるぎりぎりの暑さである。

 その前日の4日は、大阪湾の浜辺にシギやチドリを見に行ったが、ときおり小雨の降る肌寒さで、ジャンパーを着てちょうどいいくらいだった。

 このブログでも何度か触れているように、この時期は暑さ寒さの落差が激しい。

 快晴だった5日にしても、夕刻には激しい雷雨があり、自宅近郊では雹まで降ったという。
 そういえば、朝も寒かった。目が覚めた時間が早かったこともあろうが、ひさしぶりに どてら を羽織って朝食をとった。
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 肌寒かった4日から、5日の朝にかけて、北アルプスでたくさんの方が遭難し、8人が亡くなったという。
 このあたりの天気と関係あるのかどうかわからないけれど、向こうの気温は氷点下で、吹雪にもなったらしい。

 私などが自力では辿りつけない高みを歩いていらっしゃる方々のことだ。おそらくは、この時期の気候のことや山岳地帯の天気のことなど、私よりはよほどよくご存じだったと思う。

 だが、私が毎回、真夏のヨーロッパで震え上がるように(そして同じことが大台ケ原でも信州でも起こるように)、知識としても経験としても知っているはずのことですら、その内容が「今ここ」とかけ離れている場合には、思い出すのに多大な想像力を必要とする。

 さらに、過去の知識や経験を今回の行動に繋げるまでには、また別のハードルが立ちはだかる。

 そのハードルとは何か。

 まだよくわからないのだが、ひとつは楽観するこころ(昨年流行ったことばでいえば、「正常性バイアス」だろうか)、もうひとつは無駄を省いて楽をしたい姿勢(内田樹氏に言わせれば「消費者マインド」)ではないかと思う。
 たぶん、ほかにもいくつか要因はあるにちがいない。

 薄着で遭難したと言われている一部の方々のことを言っているのではない。いや、彼らもそうかもしれないが、自戒のためにこれを記しているのである。

 幸い、真夏のヨーロッパの街で寒さに震え上がっても、命を落とす危険はほとんどないけれど。

(後記:街ならいいが、山はどうだろう。ヨーロッパアルプスをハイキング中に雨に降られたことがあるけれど、あれが吹雪とかだったらどうなったかわからない。そもそも、真夏のアルプスのあの標高(2千数百メートル)で、気温や天気が最悪でどうなるかなんて、ほとんど考えていなかったと思う。)