■偏った情報

 数年前、「セントルシア人」と会ったことがある。

 その時は、セントルシアなんていう国がこの世に存在することすら知らず、慌てて調べたりしたものだ。

 「ハイチ」は知っていた。どこにあるかもわかっていた。
 だが、それだけで、人口が1千万にも届こうというような国のことをわかったつもりになり、それ以外に何も知らなくても、知ろうとすら思わなかった。

 人口で言えば、多くのヨーロッパ諸国と同等かそれ以上なのである。

 もちろん、何でもかんでも知ることはできないが、それにしても極端だ。
 ハイチについて新聞で読んだ記憶はただの一度もない。テレビで見た記憶もない。本で読んだことはあるだろうか?

 だから、先住民が滅亡させられてしまっているらしいことも、政情不安が続いていることも知らなかった。まして、国連のPKOが展開していることも。
 日本に利害関係がなければ、ほとんどまったくマスメディアに取り上げられないのである。近年で言えば、ソマリアがやたらに有名になり、西サハラのことはほとんど何も報道されないことが思い起こされる。
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 無視され続けてきたハイチで、マスメディアの「興味をそそる」地震が起き、手のひらを返したような報道が続いている。今日の朝日の夕刊(大阪本社4版)は、一面トップだ。阪神大震災以前は、海外の地震がこれほど大きく報道されることはなかったと思う。

 現在のところ今世紀最大と言われる、二十数万人が亡くなった中国河北省の地震(1976年)のときの報道を覚えていらっしゃる方がいるだろうか? 国交回復後のことなのに。
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 「マスメディアが報道したがっている情報」の洪水ばかりに溺れていないで、少しは主体的に情報を得なければと改めて思った。

 やっぱり、疲れるけど・・・