■気温10℃に温故感傷

 スーパーに買い物に行くと、駐車場で車から降りてきた人が全員といっていいほど「寒い寒い」を連発している。
 そりゃ、昨日と同じ格好だったら寒いだろう。

 中には少し対策をしているような人も見受けられるが、ほとんどは夏の格好をしている。わたしも、久しぶりにウールのベストを引っ張り出してきたものの、それでも寒過ぎるぐらいだ。セーターを着ればちょうどいいのではないかと思う。

 でもまさか、気温が10℃しかないとは思わなかった。1日で15℃ぐらい下がったことになるのではないだろうか。
 この辺を覆う大気が寒気団に入れ替わったのだろう、朝からずっと雨である。幸い、屋内駐車場なので大丈夫だったけれど。

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 この時期にこんな気温って昔からあったっけ・・・ と考えて、もうおそらく25年も前、今は亡き畏友とオフロードバイクで林道を走りにいった時のことを思い出した。
 ゴールデンウィークで天気もよかったのだが、走っていてとにかく寒かった。もちろん、セーターの上に革ジャンとか着て、グローブもつけていたと思う。

 林道に着くと、入口は雪の壁。そこまでは除雪してあったが、林道はまだ、背丈ほどもある雪に埋もれていた。ここまではるばるやってきたのにと、その壁の前でひとしきり大笑いしたことを覚えている。
 兵庫県南部のことだ。

 北アルプスの山間にある清水牧場のブログによると、今年はもう、信州の月夜沢林道すらバイクで通れるという。気合いの入ったジムニーとかなら四輪でも大丈夫だそうだ。

 それをすなわち地球温暖化に結びつけるつもりはないけれど、あのゴールデンウィークに、もし月夜沢林道なんかに出かけていたら、どれほどの雪があったんだろう、今後、それを検証できる初夏がくるんだろうかと、感傷と不安が交錯した気分になってしまう。