●連なる飛行機

 一夜、山の中腹から大阪空港を見下ろしながら、和食を食べた。飛行機が次々と降り、また、上がっていく。

 ランディングライトが複数見える。3機ぐらいが綺麗に1列に並び、滑走路を目指して降りてくるのは珍しくない。滑走路の上から生駒山の上空まで架空の糸を引くと、その糸に引かれるように、少しずつ空港に近づいているのがわかる。

 ふと見ると、6つの飛行機が同時にファイナルに入っているのが見えた。4機は左側の滑走路32Lを、2機は右側32Rを目指して降りてくる。32Lの方が長いので、大きな飛行機が降りる。並行する32Rは、小型機が多い。

 双眼鏡で見ると(和食を食べに行くのにも、双眼鏡を持ってるんです、はい)、6つが同時に視界に入る。門限の9時を前に、ラッシュアワーとなっているのだろう。

 南カリフォルニアで夜間飛行の訓練をしていたとき、ロサンゼルス空港の滑走路上空を直角に横切ったことがある。小型機のために、空中回廊が用意されているのだ。左を見ると、降りてくる飛行機が7〜8機、まっすぐにこちらに向かって並んでいて驚いたものだ。
 地上を車で走っていても、空港を目指して、あるいは、空港から飛び立って綺麗に並んでいる飛行機を見ることが珍しくなかった。それを見るたびに、彼我の飛行機文化の違いに思いを致したものだ。

 が、もちろん、伊丹だって羽田だって、(特に降りるときには)まっすぐに飛行機が並ぶ。でも、実際に日本であんなに多数の飛行機が並んでいるのを見るのは初めてだった。

 8時50分、最後の飛行機(JALだ)が降りて、8時55分にスポットイン。見事、門限内に運航が終わり、後に続く飛行機はない。明朝、一番機が飛ぶまでは静かな夜となっただろう。