●シャロー・インパクト?

 あれはいつのことだろう。5年ぐらい前か。いや、足しげく信州に通っていたころだから、もう10年になるかもしれない。えっ、10年・・・

 長野県の岡谷インターチェンジに向かって、中央高速を北東へ進んでいた。たぶん、恵那山トンネルは過ぎていて、木曽駒ヶ岳の麓あたりを走っていたときだと思う。突然、目の前を右から左に、巨大な物体が飛んでいった。「シューッ」という鋭い音をたてていたのも覚えている。

 月よりも大きな物体が、月よりも明るく光りながら、見たこともないようなスピードで正面を真横に駆け抜けていったのだ。まばゆいまでに緑色に光り、長い尾を引いていた。

 要するに、現象としては「流れ星」である。しかし、流れ星の概念は完全に逸脱している。たぶん、「隕石」と呼ぶのが妥当なのだろう。流れ星が地面まで到達すると隕石になるのかな?(後記:飛んでいる間は「火球」と呼ぶようですね。)
 先日、テレビで「ディープ・インパクト」をやっていたようだが、まさにあの状態である。数は一つで、色は緑色で、低い高度を真横に飛んでいったけれど。

 静かな夜だった。周囲も暗く、車の中には自分一人だけ。左を走るトラックの運転手に、「今の見た!?」と叫びたくなったが、姿は見えないし、声も届かない。数少ない車は、乗っている人の驚きと感動をよそに、何事もなかったかのように、淡々と100km/hで走っていくだけだ。

 その夜、テレビのニュースにはなっていたが、ごく地味な扱いだった。地上の被害もなかったようで、安心した。

 あのぐらい立派な流れ星なら、願い事をすれば叶っていたかもしれない。残念だが、もう一生見ることはないだろう・・・