■視点の違い2

 大学生になった甥とも会った。2年生だが、遠方に住んでいるので、会うのは大学に入ってから初めてだ。

 研究室では野菜の遺伝子組み換えをやっているという話になる。

 2年生なのにもうそんなことをしているのかと聞くと、1年生の時から研究室に押しかけて参加しているそうだ。他に1・2年生はいないという。
 おっとりしたやさしいタイプなのに、そんな面があったのかとちょっと驚く。

 ついこないだまで子どもだったのだが、遺伝子組み換え作物に関する知識はすでに豊富だ。

 そもそも、遺伝子を組み換えるって具体的にどうやってやるのかとか、いろいろ話していると、相変わらずのんびりと柔和に、けっこう鋭いことも言う。

 「でも、遺伝子組み換えの野菜って、作っても売られへんのんちゃうん? 嫌われてるし」と聞くと、

 「うん、そうやねんけど、売る相手は日本だけじゃないから」などと答える。

 その意を汲み取って、「そやな、むしろ日本は市場としては無視していいくらい小さいねんな」と言ってやると、すぐに「そうそう」と返事する。
 最初からそう言いたかったのに、遠慮しているのだ。

 うーん、それにしても。

 ハタチになるかならないかで、グローバル市場を意識しながら遺伝子組み換えによる品種改良にいそしんでいるとは・・・

 いる場所によって、視野や視点というのはこんなにもあっさり作られるんだなあと、思いを新たにした。