★夜の知床峠

 結局行ってきました、夜の知床峠

 結論からいうと、無駄に往復しただけに終わりました。
 出会ったのは、シカとキツネそれぞれ一頭のみ。後者は轢いてもおかしくないタイミングでした。

 曇りがちだったのですが、月齢11.5の月を厚い雲が覆い隠し、一方では星空が広がったりするかもしれないという淡い期待はもちろん裏切られました。
 雲に隠れた月明かりでも、それ以外に光源はないのに十分周囲が見えてしまうくらい明るく、雲の切れ間の星も、双眼鏡で十数個といった感じでした。

 もう30年近く前、厚い雲の間から、奇跡のトンネルを覗いたかのように、その向こうに星がぎっしりと輝いていたのを思い出します。信州は穂高の麓のことでした。

 そんな僥倖が再現するわけもなく、人っ子ひとりいない知床峠を後にしました。