●ポイントがつく?

 職場の会議。やんごとなき方々のしかつめらしい顔が何十とならんでいる。

 そんな中、最後になって「研修」の話が出た。「インセンティブとして、出席した人には「ポイント」が与えられる」という。

 人々からさっきまでの顔が消え去り、失笑と冷笑・苦笑の波になった。発言した当のご本人も、にこやかに?笑っておられる。

 「ポイントって、いったい何の役に立つのん?」
 「ちょっと貯まれば3万円とかだったらいいですけどね」
 「でも、どうやって貯めるんでしょうね」
 「貯めたとしていつ使えるんですか」
 「なんなんでしょうね」

 あんな偉い人が・・・というような方も、冗談のネタにしている。
 私自身、何も言わなかったが、笑いをこらえることができなかった。

 これだけ相手にされない制度を思いついた人は偉いと思う。
 ___

 その昔に勤めていた職場では、一年間一日も休まないと記念品がもらえた。そんなことを知らなかった新卒の私も、休まなかったのでもらえることになった。高級な磁器とかだったと記憶する。
 後日、何かの折りにある人が「ものがもらえるから休めへんと思われるのは嫌やから、毎年一日だけ休むことにしてんねん」とおっしゃるのを聞いた。

 仮に記念品を与える側の動機が純粋なものであったとしても、こういう小手先のアメ政策は、誇り高き職業人にとってはマイナスのインセンティブにしかならない。

 まして、「ポイント」なんかだと、浅ましい動機なのが丸わかりだ。
 ___

 ポイント制を導入したことによって、出席する人数は間違いなく減るだろう。そんなことにこだわるのは馬鹿らしいと、研鑽のために研修に出る人にも、いらぬ雑音がちらつく。

 こういう愚かなことを考える人は、うちの職場がどういう人々の集まりであるか、そういう人たちが気持ちよく働けるためには何が必要か、ということが根本的にわかっていないとしか思えない。

 そういう連中が上の方?にいることが、この職場の不幸である。