●どうしてこんな面倒な区分にするんだろう?

 現在は普通・中型・大型の3区分になっている自動車免許を、普通・新区分・中型・大型の4区分に変更する方針を警察庁が決めたという(朝日新聞20140710)。「有識者会議」の提言を受けてのことらしい。

 背景には、「多機能化でトラックの総重量が増え、普通免許で運転できるトラックが減るなか、人手不足が深刻な運送業界から見直しを求められていた」(同)という事情があるそうだ。
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 さて、つい7年前まで中型免許というのは存在しなかったため、現行の「3区分」は実際には以下の4区分になっている(年齢・経験条件は省略)。

普通:5トン未満(車両総重量:以下同じ)
中型:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

 私の息子が持っている普通免許では5トン未満しか運転できないが、8トンまで運転できた私の普通免許は自動的に中型免許になっており、「中型車は中型車(8t)に限る」という禅問答のような条件がついている。皆さんの免許の多くもそうだろう。

 これが新「4区分」ではどうなるか。

普通:3.5トン未満
新区分:5トン未満
新区分:7.5トン未満
中型:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

のように、実際には6区分になる。息子の免許は新区分5トン未満になり、私の免許は中型8トン未満のままだ。

 どうしてこんな面倒な区分にするんだろう?

 現実に5トン未満と8トン未満の免許を持っている人が大多数なのだから、

普通:5トン未満
新区分:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

にすれば、混乱もなくすっきりするのに。これで何か不都合があるだろうか。
 「有識者」の案では、大多数の免許の条件に、また禅問答が書かれることになる。

 まあ、「現行で中型から課すトラックを使った教習などを3.5トンから義務づけることで、安全性が高まると判断した」(同)というのなら、3.5トンの区切りはいいとしよう(でも、それだと重めの宅配トラックにまで新区分免許が必要になって「運送業界」の意向とは対立すると思うんだけど)。

 それでも、なぜもう一つの区切りが「7.5トン」なのかという疑問は消えない。
 トラックなんか運転どころか同乗したことすらない何千万人もが8トンを運転できる免許を持っているというのに、トラックで教習を受けた人が取得する新区分を8トンではなく7.5トンまでにすることに何か意味があるのか?

 「有識者」たち(実際に案を出したのは警察官僚?)が愚かなのか、それとも何か深遠な理由があるのか、どちらなんだろう?