★働くということ

 赤ちゃんだった息子が、初めて給料をもらえる仕事をしている。年末年始の郵便局でのアルバイトだ。

 11日間連続、一日も休みなし。大晦日も元日も。

 もしかして、何らかの労働法令に触れるんじゃないかとも思ったが、一日4時間だけだから、そんなこともないのだろう。

 だが、たぶん、4時間立ちっぱなしで休憩もなく、ずっと年賀状の仕分けをしているのだと思う。
 家人と2人、自分たちにはとてもできないだろうと言いあっていた。

 間違いなく、意気消沈して帰ってくるに違いない。
 単に疲れるだけではない。慣れない仕事がうまくできず、上司やら先輩やらに怒られて落ち込み、自分の不甲斐なさに情けなくなるはずである。

 それでもまあ、時間が経てば仕事は終わる。そろそろ帰ってくるかなあと思っていたころ、何気なく iPhone を見ると、息子から LINE のメッセージが来ていて

 「残業になりました」

 ああ・・・、世の中は、生まれて初めて働く憐れな子羊に、初日から残業させるのだ。
 お腹だってすいてるだろうに。もう21時過ぎである。

 「アルバイトに行ったら、働くというのがどういうことかわかるわ」などと、ろくに働いたこともないくせに社会人の先輩面をしていたのだが、社会というのがどういうものか、息子は11日間で私の四半世紀分を学ぶのではないかと思う。

 後記:今、「初出勤」から帰宅。22時36分。