●「再生医療製品のアジア市場での開拓につなげたい」
ちょうど夜8時に職場を後にする。珍しく遅い部類だ(すみません、家でも働いているので許してください ^^;)。
ラジオをつけると、大阪大学の研究グループが角膜の再生医療に関する臨床研究をタイで行うというニュースがNHKで流れていた。
それはいいのだが、その最初のほうと最後の台詞にのけぞった。ほとんど同じフレーズで、
「研究グループは、日本の先端技術を使った再生医療製品のアジア市場での開拓につなげたいとしています」
えええぇぇっ???と思いませんか。
これではまるで、「金儲けが目的」といわんばかりではないか。確かに、「製薬会社と共同で」とも言っていた。
が、それにしても・・・
建前でも何でもいいから、せめて「視力を失ってしまう患者が一人でも減るように」とか、「国際的な医療協力により、一人でも多くの患者が救えるように」とか言わないのだろうか。
ラジオではそういうニュアンスの言葉はまったくなかった。
「再生医療製品のアジア市場での開拓につなげたい」
ほんとうにそんなことを「研究グループ」が言ったのだろうか。仮に言ったとしても、そこに一番の重点があるんだろうか(本音はそこにあるのかもしれないけれど)。
大阪大学といえば、サウジアラビア人の重い心臓病患者を年間数十人程度受け入れる話でも有名だ。
それもこれも、「金儲け」なのだろうか。
たとえそういう部分は否定できないにしても、やはり根源には「医は仁術」があってほしいと思うのだが・・・
ネオリベラリズムが席巻するこのグローバル経済社会においては、それはもはや夢想家のタワゴトにすぎないのだろうか。
後記:
NHKのウェブサイトで確認すると、私が聞いたのとまったく同じ(と思われる)ニュース原稿が載っていた。
ただし、その最後は「西田教授は「日本の医療技術が使われることで、世界中の多くの患者の治療につながることを期待している」と話しています」で締めくくられている。そりゃそうだろう。
だが、ラジオではこんな台詞はまったくなかった(と記憶している)。
教授の発言にほっとすると同時に、ここを省略して「再生医療製品のアジア市場での開拓につなげたい」で締めくくるニュースを流すのはひどいと思う。
ラジオのニュースだけ聞くと、「どんだけ金儲け主義の「研究グループ」やねん」と思う人がたくさんいてもまったく不思議ではない。