★ディーゼル礼讃

 レンタカーは、"VW Passat 1.6 or similar" というのを予約しておいたのだが、結局、Audi Q3 になった。排気量はわからない(明日にでも調べてみようか)。

 これまで、レンタカーを借りて予約したのと同じ車になったためしがない。
 村上春樹氏も、同じことをお書きになっていて、はなはだしきは、BMW 3 シリーズのマニュアルを特別に指定していたのに、Ford の Mondeo か何かのオートマチックになってしまったというような話をどこかで書いていらした。

 Hertz をけっこう信頼していたのだが、イエローストーンでセダンを指定していたのにフォードのエクスプローラー(パジェロみたいなオフロード4駆です)を割り当てられたり、カナディアンロッキーでは事前チェックインまでしていて「5分とお待たせしません」という宣伝文句にもかかわらず、いつ借りられるかわからない不安な気持ちで1時間以上待たされた挙げ句、予約していたナビもない・・・などという経験をしたので、もうこだわらなくなった。

 今回は、Europcar が比較的安そうだったのでそこにした。今のところ大きな問題はないが、やはりというか、セダンを予約したのにパジェロ型の Q3 である。どこが similar、似てるんだよと毒づきたくなる。

 さらに、この Q3、かっこだけの車で、運転してみるとどうも FF らしい。その上、荷室がとても狭く、荷物がぜんぜん収まらない。
 念のため、旅行荷物がぜんぶ、自分の車(Passat より小さい)のトランクに収まるかをわざわざ実地にチェックして安心していたのに、水の泡である。

 乗り心地は悪くはないのだが、サスペンションがふわふわと安定せず、カーブでのロールも大きい。
 ふだん、スポーツセダンみたいなのに乗っているのだが、同じ調子で走らせないように意識してスピードを落としてカーブを曲がっても、「よっこらしょ」という感じになり、出口では揺り戻しが来る(これは運転が下手なせいもあるかも)。

 今日はハンガリースロバキアの荒れたワインディングロードなんかをかなり長時間走ったのだが、ペースは上がらないし気持ちよく走れないしで、かなり疲れた。
 「ダンパーがちゃんと仕事をしていない感じ」といえば当たっているだろうか。

 アウディと聞いて最初はちょっと喜んだのだが、これなら絶対、フォルクスワーゲンパサートの方がよかったと思う。
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 しかし!

 エンジンは素晴らしい。
 とはいっても、第一には燃費のことなのだが、これまで 1418 km を走って、給油の必要がない!ほどなのである。
 実際には1度と8リットル(ハンガリーフォリントの使い残し対策)だけ給油したが、半分にも減っていないときに入れて、現在でも半分以上残っているのだ。

 1回目の給油では実燃費が 18km/l ぐらいだった。燃料タンクにどれだけ入るのかわからないが、70だとすると航続距離は 1260 km ということになる。80だと1440だ。
 こんな車に乗れば、燃料代は現在の半分以下になる。

 しかもディーゼル。日本では軽油はガソリンよりも安いので、たぶん、1/3ぐらいですむのではないか。

 最新のコモンレールディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと比べてもほとんど遜色ない。
 音も振動も小さく、トルクは十分でレスポンスもよく、排気ガスもクリーンで、二酸化炭素排出量は少ない。
 (後記:オーストリアとドイツのアウディのサイトで調べたところ、排気量は2リットルだった。最高出力は140psと控えめなものの、最大トルク32.6kgmを1750rpmから発生するそうだ。3リットルのガソリンエンジンを積む私の車のトルクとほぼ同じである(しかも、私の車はたぶん3500rpmぐらいにならないとそんなトルクは出ないし、そんなに回すことは滅多にない)。動力性能に不満がないのもうなずける。)
 (若干訂正:「レスポンスもよく」と書きましたが、久しぶりに自分の車に乗ってみると、レスポンスに関しては大幅にガソリンエンジンの方が上でした。もっとも、排気量は1.5倍ですし、燃料費を2倍払うほどのレスポンスかというと、微妙です。)

 ディーゼルと聞いてバスやトラックのあのエンジンと黒い排気を想像するのは、もう時代遅れなのである。

 日本では乗用車のディーゼルエンジンはほとんど普及していないが(アウディディーゼルだってまだ輸入されていない)、ここまで進歩したら、特別な趣味車以外にガソリンエンジンは必要ないのではないかと思う。
 いや、ディーゼルエンジンを積んだアウディR10/15/18がルマンで優勝を重ねているのを見ると、趣味車でさえ、ディーゼルでいいんじゃないかという気すらする。

 フェラーリディーゼルなんていかがでしょうか。