★タバコ一本で懲戒免職? または ○○に権力

 タバコの煙が苦手だ。

 発がん性だとか有害だとかそういう問題ではない。煙たくて臭くて不快なのである。煙を吸わされるのは、オナラを嗅がされるのにほぼ等しい。他人が飲食する場所で吸うのなどはもってのほかだと思う。

 最近は煙害に悩まされることも減ってきて、そのせいで逆に感受性が上がり、免疫はなくなってきた。つまり、ほんの少しの煙でも敏感に察知し、嫌な思いをしたり咳が出たりすることが増えた。

 屋外でも、風向きによっては、数十メートル先のたった1本のタバコに咳が出ることがある(先日あった)。
 喫煙者のほうも、こんな敏感な連中にいちいち煙たがられていたら大変だろうと思うほどだ。

 それでも、喫煙者には傍若無人な者も多く、「敷地内禁煙」の休憩所で昨日も今日もタバコを吸っている人がいた。もともとそこが喫煙所であったせいもあるのだが、禁煙になってからもう1年以上経つ。
 しかも、3方の壁(4つ目は出入り口である)には巨大な禁煙の看板やら喫煙の害を訴えるポスターやら、吸わないでくださいというお願いやらが所狭しと貼られている。
 それらに囲まれながら堂々とタバコを吸い、あまつさえ、吸い殻は地面に放置していたりするのだ。

 そのすぐ横を人が通る。

 腹立たしいとは思うものの、「敷地内禁煙」と言われたのでは、いったいどこで吸えばいいのかと、私ですら同情したい気持ちもないではない。
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 「橋下市長、駅で喫煙の助役の懲戒免職検討を指示」(yomiuri.co.jp)だそうである。

 問題の助役は、4月3日の朝、四つ橋線本町駅の駅長室内にある給湯室でタバコを1本吸ったという。火災報知器が作動し、列車4本に1分ほどの遅れが出たということで大事になったようだ。地下鉄構内はすべて禁煙らしい。

 結果的に厳重注意ではすみそうにない事態になったとはいえ、所詮はタバコ1本のことだ。本人も反省しているだろうし、周囲への警告にもなっただろう。処分するなら(よくわからないけど)訓告とか戒告とか減給とか停職とかほかに選択肢もあるだろうと思う。

 万一免職にするにしても、諭旨免職だってある。ほんとに懲戒免職なんて言ったのかな?(と思っていると、tv-asahi.co.jpでも「喫煙した助役を懲戒免職に、管理職は減給処分にするよう指示しました」とある)。

 タバコ一本で懲戒免職というのは、裁判でも起こされれば、まず間違いなく「懲戒権の濫用で違法」だという判決が出るだろう。
 弁護士でもある橋下氏は、それがわかっていて「免職は法的に問題があるかもしれないが、司法決着すればいい」(yomiuri.co.jp)と発言している。

 つまりは、「違法」だと言われるであろう行為をあえて強行しようとしているわけである。なんという無法者だ。橋下氏に比べれば、無法喫煙者などかわいいものである。

 自分でも違法だとわかっている権力の濫用を行い、恬として恥じるところのない権力者・・・

 私ですら、無法喫煙者の味方をしたくなってしまう。

 追記:結局、交通局長の判断で停職3か月となりそうで、橋下市長も了承したそうです(『朝日新聞』2012.5.16朝刊)。それでも重すぎるのではないかと思いますが・・・