●大阪、侮るなかれ

 半年ぶりぐらいに両親の顔を見、数年ぶり?に実家に1泊した。行くのに1時間しかかからなかった・・・

 夜はいつもの寿司屋。コチやらカレイやらタイやら、やはり白身がおいしい。それに、アオリイカシマアジ、エビ、タコ。あ、中トロやウニも。しかし、それらはこの際割愛。
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 翌日の昼、はるばる丹波の田舎へ蕎麦を食べに行った。

 周囲には他の店1軒すらない山里、住宅だってごくまばら、in the middle of nowhere である。

 にもかかわらず、なんと、11時半すぎには受け付け終了。打った蕎麦の量に達したらしい。ぎりぎりでセーフだったが、その後も数組の客が・・・
 こんなところまで来て売り切れだったらどんな気分になるだろう?

 その後1時間待って、やっと席に通された。
 蕎麦もおいしかったが、鴨の前にはそれが霞んでしまうほど。

 これまで、「フランス・シャロン(シャラン)産の鴨」というのを何度か食べ、「これが本場の・・・」などとありがたがりながら、何かもう一つ釈然としなかったのだが・・・

 「鴨ロースたたき」というのをいただいて、鴨というのはこんなにおいしいものだったのかと驚いた。
 別に鴨に限定しなくても、あらゆる肉の中で一番おいしいといってもいいぐらいではないか。

 「たたき」という名前だが、ミディアムレアぐらいに火が入ったローストという感じ。もう少し熱い状態で供された方が・・・とは思ったものの、あまりの絶品でそんなことは忘れるぐらい。
 両親によると、いつもこのぐらいの温度で出てくるということなので、これで正解なのかもしれない。

 母親は「ここの鴨食べたら、よそで食べられへんねん」などと言っている。おいしいものは罪作りなのだ。

 あまりのおいしさに、「この鴨は何という鴨なんですか」と、一流の職人特有のいい顔をしていらっしゃる店のご主人にうかがうと、なんと、大阪産(詳細は秘す(笑))の鴨だと教えてくれた。

 大阪って・・・

 誇れるものがほんとに少ない大阪、しかも明日、またたぶん全国に恥をさらす大阪が、こんなにおいしい鴨の産地?だなんて・・・

 フランスのシャロン産だかシャラン産だかをありがたがっている西洋かぶれに、地元からの強烈なカウンターをくらった思いであった。

 灯台もと暗し、大阪、侮るなかれ。