■飛びたちかねつ鳥にしあらねば

 車に乗り込むと、外気温計は4℃を示していた。

 白樺峠に向かう途中、とうとう1℃に。

 アメリカのイエローストーンやカナダのロッキー山脈に行ったとき、真夏なのにこんなに寒いなんてと驚いていたのだが、身近にこんなところがあるとは考えていなかった。
 もっとも、彼の地は8月だったので、1か月違うのだが。

 こんなに寒ければ、そりゃタカだって暖かいところに向けて飛び立ちたくなるだろう。「世の中を憂しとやさしと思」っているかどうは知らないけれど。

 鳥ならぬ身はどこへも飛び立てない。無事帰ってきたことをよしとするしかない。