●初めてのデフレ

 デフレだデフレだと騒いでいるが、モノの値段が下がっているようにはぜんぜん見えない。

 特に、私を直撃するのは昼食代とガソリン代だが、双方ともむしろ値上がり傾向にある。もはや、千円で前菜からデザート(かつて2軒あった)など望むべくもない。それどころか、毎週のように通っていたトラットリアなど、千円のランチをメニューから落としてしまって久しい。

 この機会に書いておこう。
 最初は千円で飲み物とジェラートがついていた。その後、一方の選択になり、最後にはメニューからなくなった。
 今や、1300円出しても、飲み物とジェラートは択一である。もっとも、前菜がつくようにはなっているのだが。

 そんな中、デフレを感じるのは、年齢や経験を重ねてもいっこうに上がらず、むしろ下がり気味の給与だけだ・・・

 ところが、先日、眼鏡のレンズを入れ替えて、初めてデフレを実感した。

 最初、以前近距離用眼鏡を買った安売り店に行ったのだが、他店のフレームにはレンズを入れないと言われてしまった。一流メーカの片面非球面・屈折率1.67のレンズ(2枚)でもフレーム付きで4800円からという店だから、フレームなしなら同じかそれ以下で入ると思っていたのだ。

 次に、自由にレンズが選べるというのが売りの眼鏡店を覗いた。ここでは、同じレンズの入れ替えが1万円強だ。もっと屈折率の高いレンズや遠近両用も同じ値段で選べる。
 1万円でも安いので、そこで買おうかとも思ったが、念のため、長年通い続けている眼鏡屋に行ってみることにした。

 驚いたことに、同じレンズが7000円強だという。こんなに安かったかと聞くと、「いや、今おかけの眼鏡をご購入いただいた5年前には2万数千円しておりました」とのこと。
 そうだろう。フレーム込みで5万円近かったと思う。その記憶があるので、行きつけの眼鏡屋を裏切って安売り店で購入したりしていたのだ。

 しかし、この5年でレンズのデフレが劇的に進み、実に1/4近くになったのだそうだ。眼鏡量販チェーン店が猛烈に進出してきた影響だろう。メーカの卸値も大幅に下がっているらしい。
 この店だって、価格を下げなければとてもやっていけまい。ただ、フレーム付きを4800円で売っている店が同じビルの中にあるのだから、これでも高いという人がいても不思議ではない。

 それほど悪くない遠近両用も確かに1万円程度からある。一瞬考えたが、そちらの値段は性能に応じて天井知らずだそうで(何でも20万円近いのまであるらしく、スペックを追求する私としては、買う以上はそういうのにしたくなってしまう)、すっぱり諦めて7000円で我慢することにした。

 左のレンズだけ替えようかとも思っていたのだが(それだとたった!3500円)、検眼しているうちに気が変わり、両方替えることにした。さらに、値段表を見ているうちにさらに屈折率の高い1.71のがあったので、結局それにする。1万円。

 5年前なら、おそらく3万円以上はしていただろう。片方5千円なら、ときどき替えてもいいかなというレベルだ。この年になっても近視はじわじわと進むのである。いつになったら止まるのだろうか・・・