◆ハイブリッドブームに違和感

 プリウスが無茶苦茶に売れている。日本で発売されているすべての乗用車の中で、販売台数1位をずっとキープしているのだ。
 先月まで、16か月連続でトップ。たぶん今月もトップなのだろう。
 軽自動車を含めてもプリウスの方が売れているし、軽を除いた2位であるホンダのフィットの倍くらい売れているのがふつうである。

 いくら何でも売れすぎでは?と思っていると、そのフィットもハイブリッドを出した。

 だが当然、ベース車両よりも重くなる。電池のスペースに押され、空間もやや圧迫される。

 もちろん値段も高い。その価格差を燃費の良さで埋めようとしても、十万キロ以上走っても埋まらない。
 消費者にとってのコストがペイする前に、複雑なシステムが故障したり電池の寿命が来たりする可能性もけっこう大きいのではないかと思う。それどころか、車自体の寿命が来るかも。

 結果として高コストになってしまっても、使う燃料が減るというのは他の良い面につながるのかもしれない。しかし、大量のニッケル水素電池を使用して、また後に廃棄(リサイクル?)することを計算に入れれば、トータルの環境負荷にしてもどうなのかなあ・・・とも考える。
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 確かに、発売当初のプリウスにはインパクトがあった。2代目のころまでは、私も、「次に買うのはプリウスになるかも」などと考えていた。言葉を選ばず端的に言うならば、たとえばスポーツカーなんかに乗るよりも、プリウスに乗る方が、なんとなくオシャレで知的な感じがしたのである。

 だが、ここへきて、これほど売れるのはやはり異常なのではないかと思い始めた。
 最近ではむしろ、「すぐにブームに飛びついて何でも真似をしたがる人の買う車」になっているのではないかと思うようになった。
 再び言葉を選ばず言うと、いわば「頭が悪そうに見えるダサい車」になってしまったのではないかということだ(いえ、車がそう見えるだけで、実際に購入なさった方々は、きっと知的でオシャレなのだと思いますし、何を買おうがもちろん個人の自由です。しかし、それがブームになっているのにはちょっと違和感を覚えます)。

 私もたぶん、「オシャレで知的な未来」ブームに乗せられていたのだろうと思う。

 欧州はむしろ、ものすごく燃費のいいクリーンディーゼルが得意だが、日本では売れないのでほとんど輸入されていない。
 また、たとえばマツダは、デミオに搭載して 30km/l をマークするガソリンエンジンを開発したという。この数字は発売されたばかりのフィットハイブリッドと同じだ。

 今は、次に買う車はクリーンディーゼルにしたいと思っている。でも、国産車にいいのはないし、外国車は輸入されない(輸入されてるメルセデスはちょっと・・・)。

 まあ、また数年経ったら、「クリーンディーゼルなんて頭が悪そうに見える・・・」と思っているかもしれないけれど。

(後記:11月も半ばになってからたまたま記事に気づいたのですが、「フィット、主流はもうHV 受注の7割占める ホンダ」(2010.10.21 asahi.com)ということになっていたそうです。その後、どう推移してるんだろう?)