■レンジよさらば

 新しいのを買ったので、23年近く苦楽をともにした?オーブンレンジを捨ててきた。

 鍋や食器を別にすれば、うちにあるものの中で一番の古株の一つではないだろうか。センチメンタルな男としては、汚れくたびれたレンジにも、惻隠の情がわき起こるのである。

 予想したことだが、大型ゴミの集積所にはトラックが止まっていて、捨てられたゴミを持って行こうとしている。仮に渡すまいとしても、ゴミとしてそこに置けば必要なら当然持って帰るだろうから、互いの手間を省くためにも声をかけることにしている。
 以前、まだ使えるファミリーコピアを捨てに行ったときは、若い娘さんが「要る要る」と言って嬉しそうに受け取ってくれた。

 今日は若い男性だった。「電子レンジ要りますか? いちおうまだ使えますけど」というと、やはり要るという。「他に何かないか? エアコンとか」みたいな短い会話。
 そんなに同時にたくさん捨てるわけがない。引越ではないのだ(あ、エアコンのうち1台は25年選手である。あれが一番古いかも)。

 ファミリーコピアのときは日本語のネイティブスピーカだったが、今日は中国語話者のようだった。

 いずれにせよ、あんな古いコピー機とかオーブンレンジとかを引き取って、どうするつもりなんだろう? それに、エアコンと言っていたが、彼らに譲り渡せば、リサイクル料を支払わなくていいということになるではないか。

 そのまま転売できるとは考えにくいので、部品取りでもするのだろうか。だとすれば、取った残りはどうなるのだろう? そして、いずれにせよ、輸出されてからそういう運命を辿るのだろうか。
 自分の出したゴミが、もし他国の環境を汚染することになるのだとしたら、あんまり寝覚めが良くない(もちろん自国の環境でも)。

 だがしかし、ゴミ捨て場に置いても、どうせ持って行くのだ。資源ゴミとは違い、所有権も占有権も放棄された単なる廃棄物なので、持って行くこと自体は悪いことではないし。

 今度会ったら、この種のゴミを引き取ってどうするのか聞いてみようと思う。彼らにしても、また別の誰かに売り渡すだけで、最後がどうなるか知っているわけではないだろうけれど。