●消える現金
毎月だいたい、20万円の現金を銀行から降ろしてくる。そして、それはちょうどひと月経つころにきれいになくなる。これまで何年間にもわたってそれを繰り返してきた。
年度初めの税金だとか、車の車検だとか旅行だとかいう費用は別だ。
電気・ガス・水道・電話・ネット代は口座振替かカード決済。私のガソリン代もそうだし、本代もほとんどそうだ。
息子の学費は別口座から落ちる。
家人によると、最近はスーパーでの買い物でもカードを使うこともあるという。
まがりなりにも一家を構えているのだから、毎月20万円ぐらい現金を使うのは普通かと漫然と思っていた。だが、考えてみれば、毎週5万円、毎日7千円である。
洗い物をしながらふとそれに気づき、何にお金を使っているのか記憶をたどって洗い出してみようとした。もちろん、家人も一緒にである。
結論は「食べるもんぐらいやね」ということになった。あとは新聞代か。
その「食べるもん」すら、有機系食材の宅配をしてもらっていて、米や野菜や果物や牛乳やヨーグルト、卵から肉(牛肉以外)まで、別枠で口座から落ちている。現金は使っていない。
そして、3人ともやせている。
であれば、毎日平均7千円、毎週5万円も、いったい何に使っているのだ?
週末にスーパーに行っても、使うのはせいぜい1万円弱である。梨や桃や葡萄や苺を買うのでも、400円以上のものは滅多に買わないし、500円以上となるとほぼ買わない。
けれど、毎日7千円も使っているのであれば、毎日そこそこの外食をしても大丈夫だということになる。
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うちはほとんどモノを買わない家族だ。
私は毎日家と職場を往復しているだけで、使うのは昼飯代ぐらいである。
家人も同様で、昼飯代すら使わない。ガソリン代は月3000円程度。
息子がバスで学校に行くと1日あたり420円使う。昼飯代は滅多に使わない。
と考えると、犯人がいないのである。
仮説1:家人がこっそり何かに使うか貯め込んでいる。
仮説2:息子がこっそり何かに使うか貯め込んでいる。
仮説3:毎月定期的に泥棒に入られている。
仮説4:なんやかやで結局それくらい使っている。
それぐらいしか思いつかない。そして、仮説の1〜3の可能性は限りなくゼロに近いのだ。
とすれば、やはり、4ということになる。
それにしても、毎週現金で5万円・・・ ありえないと思うのだが、そのことに何年もの間気づかなかったのもまた、ありえないと思う。