●個人的アマゾン不買運動

 書籍に限らず、家中にアマゾン(amazon.co.jp)で買ったものがいろいろある。何か買うとき、とりあえずアマゾンにあればそこで買うというほどだ。
 かつて、このブログにもリンクを張って応援したりしていた。

 そのアマゾンが、日本では所得を申告しておらず、東京国税局が140億円前後の追徴課税処分を出していたことを知った。

 興味深いのは、これが通常の脱税ではないということだ。アマゾンは、日本に申告すべき(だと日本の国税当局が認定した)所得を、アメリカに申告して「節税」していたのである。

 たとえば私が『1Q84』(村上春樹)を買ったとする。すると、その売り上げはアマゾンのアメリカでの所得になり、利益から支払われる税金は、アメリカに納められることになるのである。

 何のことはない、わたしは何年にもわたって、せっせとアメリカに「寄付」していたことになるのだ。
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 もとより私は国粋主義者ではない。たぶん、ナショナリストでもない。日本だの外国だのと区別するのも、どちらかといえば好きではない。

 しかし、日本の作家が日本で?書いて、日本の出版社が日本で?印刷した本を、日本の物流拠点から日本の運送業者が日本の消費者に配送しているのに、その売り上げやら利益やら税金やらだけがアメリカに流れるなんて、常識的に考えて明らかに異常ではないか。

 私がアマゾン(amazon.co.jp)に本(やら何やら)を注文すると、私が契約してお金を支払っている相手は、アメリカにあるアマゾン本社(Amazon.com International Sales)ということになっているらしい。

 「グローバル経済」やら「タックスヘイブン」やらについて、あるいは法人税率の多寡に伴う本社機能の海外移転等について、まったく知らなかったわけではない。

 しかしながら、アマゾンがこんなことになっているというのは、迂闊にも知らなかった。
 新聞記事でも、「日本での売り上げから得た所得を、日本には申告していなかったことが表面化した」(朝日新聞)とあるから、今まであまり知られていなかったのだろう。

 便利だからといって、今後もアメリカに「寄付」を続けるのか、ここは思案のしどころである。
 これがアメリカではなく、もっともっと経済的困難を抱えている国に、ならいいんだけど。

 他で買えるものはなるべく他で買うとか、無理のない範囲で「個人的アマゾン不買運動」を始めようかと思っている。