◆バター買い占め

 バターが品薄だというのはニュースで聞いていたが、いつだったかスーパーに行ったら、現実にまったく払底してしまっているのにちょっと驚いた。

 ここはほんとうに21世紀の日本なのか、と思った。

 先週、同じスーパーに行くと、何とか1種類だけ、普段買わないバターがあった。

 バターがないと飢餓感を覚える家人に「バターあったで」と報告すると、ことのほか喜び、「3つぐらい買っておいて」との仰せがあった。

 特に「お一人様おいくつ」とか書かれていなかったので、やや良心の呵責を覚えつつ、3つ買った。

 朝早かったからまだ残っていたのだろうか。全部で10もなかったと思うので、午後からはまた品切れになるのかもしれない。
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 こういう、庶民の「プチ買い占め」を経験したのは、それこそ例のトイレットペーパー騒ぎ以来だと思う。

 遠く幼い日、両親がホンダのスーパーカブに2人乗りしたりして、積めるだけ持てるだけのトイレットペーパーを買って帰ってきている映像がまだ脳裏に鮮明である。

 思えば、あの頃は自家用車もなかったのだ。
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 バターはまだ3つとも、冷蔵庫で眠っている。
 トイレットペーパーと同じように、この在庫がなくなる前にごくふつうに手にはいるようになるのではないかと疑っている。

 だが、これまでの経験則から「どうせたいしたことにはならない」と信じてしまっていいのだろうか。

 何だか、やや心許ない気がする。