■司法礼讃

 以前書いたエントリと同じ言葉で始めよう。

 「こういうニュースを聞くと、心底ほっとする。この国の司法は、まだかろうじて機能しているのだ」

 裁判を経験した方の中に、この国の司法のひどさを嘆く人が後を絶たない。しかし、司法がきちんと使命を果たしている場合もまた多いのだろう。これは、すべての人にとって慶ぶべきことであると思う。

 地裁レベルではあるが無罪判決まで出ているにもかかわらず、相変わらず、ビラ配りや新聞配りで「逮捕」する警察。
 以前同種の事件があったときには、検察はその後裁判所の許可を得て75日間も「勾留」して取り調べ、「起訴」した。結果は無罪であったものの、なんと「控訴」している。どこまで恥の上塗りをすれば気が済むのだろう。

 今度は、愚かな警察が「逮捕」して愚かな検察が「勾留」を請求したものの、見識ある東京地裁はこれを却下し、検察の準抗告も棄却した。結果、被疑者は無事釈放されたという。以前より早い段階で間違いが正されそうな気配に、素直に司法への讃辞を送りたい。

 厚生労働省の課長補佐が9月10日、共産党の機関誌『しんぶん赤旗』の号外を配るために警視庁職員官舎に立ち入ったとして住居侵入容疑で逮捕・送検された事件である。後に身分が明らかになるに及び、国家公務員法違反の疑いでも追送検されている。その後、検察が勾留請求したのを地裁が却下したのだ。

 警察や検察(の一部勢力)はこれを教訓に不当な逮捕・勾留・起訴による言論・思想弾圧をいいかげんにやめるべきだ。
 多数を占める(と信じたい)良心的な警察官や検事たちは、身内の恥ずべき行いへ批判の声を上げて欲しい(私も組織に属する人間なので、それがいかに困難かの片鱗ぐらいはわかるのだが・・・)。

 今回のことで、ともすれば失いがちになる司法への信頼が少し(かなり?)回復したことは、司法にとっても寿ぐべきことである。
 人々の信頼を失ったのでは、警察や司法は成り立たない。われわれが警察に協力を惜しまないのは、「悪」と闘って欲しいからなのだ。

 ・・・くどいようですが、私は共産党となんの関係もありませんし、先日も同党には投票しませんでした(ほんとです。すみません>共産党の方)。だから逮捕しないでください、おねげぇしますだ、お警察様。