■遅まきながらキーボード

 息子がキーボードの練習を始めた。いや、楽器ではなくパソコンだ。

 もともと外へ出て遊ばない子だし、目も悪くなるので、あまりパソコンは触らせないできた。だがこのご時世、パソコンなしでは夜も日も明けなくなるのは明白だ。そして、キーを打つ速度が速いか遅いかは、膨大な時間の損得となって返ってくる。

 もしパソコンを日常的に使うつもりなら、1日1〜2時間、ものの1〜2週間も練習すれば、まあ誰でも、タッチタイピングができるようになる。そうすれば、以後死ぬまで?キーを打つ膨大な時間が節約できる。にもかかわらず、そうなっていない人が多いのは驚くばかりだ。最近の若い人は違うのだろうか。

 欧米などだと、ついこないだまでは、スムーズにタイプできないことが逆説的にステータスシンボルになっていたりしたらしい。タイピングはタイピストの仕事だというわけだ。今はどうなんだろう?

 もちろん、人差し指2本で素晴らしい小説を紡げる人と、タイピングは早くてもろくな文章を書けない人がいるとすれば、前者になりたい。だが、後者はなかなか前者になれないが、前者は後者にも簡単になれるのだ。

 私自身は、高校時代、高価なタイプライターを買って本を見ながら練習した。もちろん、上のようなことを考えていたわけではない。昔の愚かな高校生のこと、活字的な英語が打てることがカッコイイような気がしていただけである(笑)。だが、お蔭で、何とか人並みにキーを打つことができるようになった。何が幸いするかわからない。あの頃にきちんとやっていなかったら、今も人差し指だけでパソコンを叩いていたかもしれない。

 息子の目の前には、古いとはいえ高性能のコンピュータがあり、楽しく練習できるフリーソフトもある。いい時代になったなあ。たぶん、すぐに僕より早くなるんだろうなあ・・・ なってほしいよなあ・・・