■「和食ファーストフードのスタンダード」

 今日は珍しく、決まった時間に急いで昼食を済ませる必要に迫られていた。ちょうどその時間に移動もしなければならないのだが、途中に適当な店が思い浮かばない。コンビニのおにぎりにしようかと考え始めていたとき、「なか卯」が目に入った。そういえば、最近ここにできていたんだった。どういう店かは知らないが、おそらく、手早く昼食を済ませるには適しているに違いない。
 できる範囲で「スローフード」を提唱・実践している身として(笑)、後学のために入ってみることにした。

 入ってまず食券を買うシステムになっていることに驚いた。吉野家には大昔にたぶん2回ぐらい入ったことがあるが、食券ではなかったように記憶している。まあ、合理的だし、問題はない。
 カツ丼とカツカレーを宣伝しているふうだったので、ちょっと迷って後者にした。590円。牛丼騒ぎの時に、確か、280円とか言っていたのを考えると、倍以上である。この種の店で600円も出すのであれば、そう悲惨なものは出てくるまい。

 予想は当たって、ごくリーズナブルなカツカレーだった。だが一方で、「これでは苦しいだろうな」と思った。600円出せば、本格的なおいしいラーメンを食べることも可能だ。780円で立派な定食を食べさせる洋食屋も知っている。別に問題はないのだが、あえて「なか卯」を選ぶ理由がないことになってしまう。豚どんぶりは330円だったが、隣で食べているその豚肉を見た限りでは、かなり悲惨な食べ物に思えた。

 値段に理由を求めず、マクドナルド的店舗におけるファーストフードという形式に価値を認めるのなら、アリかもしれない。繁盛しているとしたらその理由を知りたくなる。