★最後のクリスマス

 来春中学生になる息子がまだサンタクロースを信じている。

 親に似ず?ほんとうに純粋無垢で善良な子どもだ。だが、いかに幼いとはいえ、この情報化社会。サンタが架空の存在だという話が目や耳に入るのをさえぎる手だてはない。

 去年までは確実に信じていたと思うのだが、今年はさすがに疑いが兆しているようだ。「信じているフリをしていたほうがトク」という打算もどこかに働いていないとは言えない(どこが無垢だよ)。

 いや、そんなこんなを差し引いても、まだ「ほとんど」信じていることに疑いを差し挟む余地はない。でなければ、クリスマスイブの今夜になってから欲しい品を決めて、サンタに真剣に頼んでいる姿の説明がつかない。
 今ごろ決められても買いに行けないって。だいたい、手に入るのか? 品薄だし。

 よしわかった。何とかしようじゃないか。息子よ、君の親はすれっからしだから、無垢な君を手玉に取ることぐらい、わけはないのだ。

 もうまもなくクリスマスイブも終わる。さすがの君も「中学生になったらもうサンタさんは何もくれへんかもしれへんなあ」と言っている。そう、おそらくこれが、サンタからの最後のプレゼントになるだろう。

 やれやれ、サンタを待ってるんだったら早く寝てくれよ。こっちがいつまで経っても寝られないじゃないか。

  Merry Christmas to my son, merry Christmas to you all...