★二年間の休暇

 いいなあ、二年間なんて・・・ という話ではない。11歳の息子が、生まれて初めて、まともな本を自分で読んだのだ。8月1日のことである。そのタイトルが『二年間の休暇』(福音館文庫:文庫といっても新書版より大きい)。全訳で上下2冊もあるのに、斜め読み?ながらも半日で読み切ってしまった。私が子どものころ、一番好きだった、ジュール・ベルヌの『十五少年漂流記』である(原題に忠実なのは「休暇」の方)

 自分が子どものころは本ばかり読んでいたように思う。子どもがそうではないのに違和感を覚えていたのだが、これをきっかけに読書を始めるようになるのかもしれない。なにしろ、これまで読んでいたのは、ドラえもん学習漫画シリーズと、かいけつゾロリシリーズだけといっても過言ではないのだ。あ、江戸川乱歩シリーズも少しあったか。それにしても、何という人生だ・・・

 と思っていると、その翌日には、村上春樹の『レキシントンの幽霊』(単行本)を読んだと嬉しそうに報告してきた。幽霊だのUFOだのが好きなので、勘違いして手に取ったのだろう。何がどこまでわかっているのかは不明だが、ともかく一冊ぜんぶ読んで、「レキシントンの幽霊」(短編)が一番おもしろかったと言っていた。ほんとかよ。

 これが子どもの成長のブレイクスルーであることを祈る。一方で「赤ちゃん」らしさが抜けていき、二度と戻らないのは寂しい。戻ったら戻ったで、悩むだろうけど。