◆高槻の鹿

 あんまり空気が澄んでいたので、夕刻、ドライブに出た。高いところに上って景色を見るのが目的だ。大阪府高槻市の山へ向かう。途中、はるか三重県の山まで見通せるポイントがあった。ホトトギスの鳴き声も聞こえる。一応の目的を達した。昨日の天災のような出来事から来るもやもやも、少し晴れた気がした。
 あとは家に帰るだけなのだが、なんと野生の鹿に遭遇してしまった。市街地からたった数キロの山の中だ。むこうを向いて路肩に立っている。距離10メートル足らず。こちらが気づいたときには、すでに左から肩越しに?振り返っており、私と目があった。3秒ほどはその状態が続いたろうか、あっけにとられているうちに、身を翻して崖を駆け下りてしまった。胸ポケットにあるカメラのことが頭をよぎりはしたが、体が動く前にもう崖に消えていた。
 林道の道ばたなどで、鹿に出会ったことは何度かある。いつも数秒間目があう。あの時間は、鹿にとっては何なのだろう? その後も決まって、崖を駆け上るか駆け下りるかして視界から消えていく。鹿って、ほとんど垂直の崖でも見事に登っていくんです・・・
 それにしても、こんなに身近に野生のシカが生息しているんですね。大昔から連綿と繁殖し続けているのだろう。里に下りてきて害獣扱いされたりせず、山で平和に暮らし続けられることを願うしかない。