◆バカの三重奏

 長崎県佐世保市の小学校6年生女児による殺人事件に関して、井上喜一防災担当大臣が「元気な女性が多くなってきたということですかな」などと語ったという。
「女ですからな。女の子だからね。これは従来の考え方をある意味で多少覆すことじゃないですか。男がむちゃやって、なんかしでかす、ということはかつてはあったかもわからんが、女の子がやったというのは初めてじゃないですか。今までありましたかね。最近、男、女の差がなくなってきたんだね。元気な女性が多くなってきたということですかな、総じて。どこの社会も」

 現在次々と厳しい有罪判決が出ている例の強姦サークル「スーパーフリー」事件の際も、同じ自民党太田誠一衆議院議員(当時。元国務大臣)が、「(集団レイプする人は)まだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」と発言している。

 「元気」の意味もわからず、事件の表層すら理解できないような連中が大臣をやっている。

 かと思うと、井上防災担当相を擁護する大臣が現れた。谷垣禎一財務大臣。井上氏を弁護する中で「私が若い頃は、男の犯罪と女の犯罪とはかなり違ったところがあった。放火なんていうのは、どちらかというと女性の犯罪なんですね」「小学生の女の子がこういうことをやるようになったのは、昔のイメージではとらえられない社会の変化、子どもの変化、男性と女性の関係の変化というものがある」と語ったそうだ。
 これは、事件の本質をなんら衝いていないばかりか、男性と女性(およびその関係)に関する己の愚かな偏見を吐露しているに過ぎない。それを根拠に、「分析」してみせ、余計にバカを晒しているだけである。
 統計によると、放火犯に占める女性の割合は、谷垣氏が「若い頃」の1965年当時も今も、概ね10%程度なのだそうだ。私の実感とも一致するが、氏は、女性への歪んだ感情から、頭の中で勝手に「放火は女性の犯罪」という妄想を抱いているのだろう。この谷垣(敬称はいらないだろう)、なんと、弁護士でもあるんですけどね。

 井上(敬称略)も谷垣も東京大学の法学部を出ている。太田(敬称略)は、慶應の経済学研究科で博士課程を修了している。「博士」なんでしょうね、たぶん。「法務委員会」の理事も15年間務めている・・・

 この、ただの愚かなオッサンども、何といっても、現・元「大臣」なのである。学歴や経歴とバカ度は、なんの関係もないのだろうか。バカの三重奏と、とりあえず呼んでおこう。

 こんな連中を有権者が選んでいるのもまた、もの悲しい。

(引用はマスコミ各紙から、経歴は公式ウェブサイトからの情報です)

後記:太田は、衆議院に7回も当選しているにもかかわらず、上記発言が響いたせいか、前回の選挙で落選したらしい(ウェブサイトには書いていない!ようだ)。われわれの票には、間違いなく力がある。