■鋭い/鈍い 味覚と嗅覚
息子が帰宅してリビングに入ってくるなり、「なんかバターくさい」という。
夕食はカレーである。バターなんか一切使っていない。
カレーを食べると「やっぱりバターの味がする」と言う。家人にはわからないらしい。
「いつもと同じように作ったよ。もしかして、バター入れた?」と家人。後半は私に聞いている。
「入れるわけないやろ」と息子と私が同時に言う。
私は料理のバター味が嫌いなのである。息子もきちんと把握していることを、家人は気にしていない。料理担当なのに。
作業が途中だったので若干夕食に出遅れた私がカレーを食べる。なるほどバターくさい。
匂いに関してはそれほど感じなかったのだが、食べれば歴然としている。家人はどちらもわからないという。
いつもと同じように作ったというなら、メーカーがルーを変更したとしか考えられない。うちはずっと、S&Bのフォン・ド・ボー ディナーカレーを使っている。パッケージを見ると、確かに原材料の中にバターも入っている。
だが、古いパッケージがないので、前は入っていなかったのかどうかがわからない。
ウェブで調べると、なんと今年、「ディナーカレーの魅力である「フォン・ド・ボー」「ソテー・ド・オニオン」「バター」の特徴を深化」したという記載。7年ぶりの変更だ。
私と息子はそれを感じ取ったのである。
こういう定番商品でも製品開発の努力は継続しているんだなあと、ちょっと感心する。
せっかく変えても、たとえばバター嫌いが離れていく危険もあるし、なかなか難しいと思うんだけれど。
幸い、息子も私も、だから今後はやめようとは思わなかった。息子はどちらにしてもこの手のカレーが好きではないし、私もこのくらいならバターの風味も悪くないと思える。
問題は・・・
家人の嗅覚と味覚がわれわれより鈍いことである。料理担当なのに。