★バイク&ハイク(承前)

 バイクに戻り、少し考えてからジャケットなしで昼食に向かうことにした。上半身を守るプロテクターもなくなったということで、なんだか不安である。転倒したことはないんだけれど。
 ヘルメットもなしにしたかったが、さすがにやめておいた。

 汗をかいた体で24℃の空気の中を走り抜けていくと、少し寒いくらいに感じる。

 ほどなく、旧六甲オリエンタルホテルのところに来た。様子が変わっていたので思わず止まる。
 2007年に閉鎖されてから長い間放置されていた(ただし、建物の素晴らしさが惜しまれて、2年前には一時的に「六甲ミーツ・アート」の会場の一つに選ばれたらしい)が、とうとう解体が始まってしまった諸行無常である。

 手前にある案内看板はそのままで、まだ古びた感じもないことが、かえって哀感を催させる。

 道路沿いは青いアジサイがみごとだ。

 天覧カフェでカレーの昼食後、気紛れで六甲ケーブル山上駅に向かう。
 子どものころ、これに乗って下から上がってくるのは、ハレのお出かけだった。

 大人になって、いつでも自由に1時間あまりで来られるようになったことは、決して福音ではない。
 あのころと同じようなハレの気分を求めるならば、今は少なくとも海外に出る必要がある。

 そういえば・・・

 18の時はヘルメットもかぶらずにTシャツ姿で原付に乗って走り回り、何の不安も感じていなかった(念のため、当時の原付ノーヘルは合法です)。
 40になっても、プロテクターなんて使っていなかった。

 わくわくするハレの気分を味わえるのは、無知で無防備な者の特権なのかとふと思う(今も人よりは無知で無防備ですが)。