★自由な日々が始まる・・・のだが

 肝臓ガンの手術を終えて、ICUから一般病棟に移った母親を見舞ってきた。

 妙な感想だが、「死にそうだけどまあ元気」という感じだった。

 中心静脈栄養を入れ、導尿している。鼻からは酸素を吸い、痛み止めもいつでも静注できるようになっている。
 何だかわからない小さな袋を腰に下げているので、やってきた看護師に聞くと、まだ腹腔からのドレインを外していないということだった。
 ということは、お腹に穴が空いて、内臓と外とがつながっているのである。

 まだ手術の2日後なのだ。
 そんな状態で、歩行訓練を始めている。

 点滴のポールと酸素ボンベを従え、導尿やドレインの袋をぶらさげて、歩行器に寄りかかって歩く。
 指にはパルスオキシメーター。ナースステーションまで歩いただけで酸素飽和度が91に下がり、脈拍が100になる。

 大丈夫なのか?

 それに、以前から不思議だったのだが、お腹を開けて内臓を切り取ったりして、傷を縫っただけですぐにくっつくものなのだろうか。手術の翌日には「歩かなければならない」といって、すぐに訓練が始まるそうなのだが、傷口が開いたりしないのか、ほんとうに不思議である。

 指先をちょっと切ったくらいでも、2〜3日は傷口がふさがった感じがしないのに。

 まあ、大丈夫だからやっているんだろう。もうヤマは越えたし、病院に任せておけばいいようにやってくれるはずだ。
 幸い、父親はすこぶる元気である。
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 私自身はゴールデンウィークで自由の身になった。

 今から海外・・・というのはちょっとアレだが、日本全国ほぼどこにでも行ける。

 去年に引き続いて東北へ行こうかと思っていたのだが、桜も終わりつつあるという情報も入ってきて、それならいっそのこと、九州へと考えていた。

 だがどうも、まだ震災も地震も生々しい。本気でボランティアでもするんでなければ、やっぱりやめておいたほうがいいかなあという気もする。それで、もう東北気分になっていたところへ、「九州は旅行客が激減して大打撃」みたいな記事を読んだ。

 もともと、微力ながらそういう事態を補うために九州を考えていたものだから、また針が九州に振れる。東北は去年も行ったしなあ・・・ でも、太平洋側に限れば、たぶん5年ぶりになるんだけれど。

 以前からどうしようか考えていたテントを、出発に間に合うように急遽アマゾンで買うと、なんと12時間後に届いた。
 宿泊施設、車中泊に、テント泊という選択肢が増えて、去年今年の東北や北海道旅行よりはちょっと楽になりそうかなという気がしている。

 気になるのは、ここ1か月くらい、右肩が痛むことだ。自宅で優雅に寝ていてもつらいときがあるので、テント泊や、まして狭い車中泊でよけいにおかしくならないか、ちょっと心配している。
 でもまあ、好きでそういうことをするのだ。そういう生活を余儀なくされている方々のことを思えば、気楽なものである。

 それともいっそ、旅先にお金を落とすために、豪華温泉旅館をハシゴとかしてみようか(無理だけど)。

 うーん、まだ決まらない。この分だと、車で走り始めてから、やっと気持ちが固まりそうな気がする。