★予想外の「らくらくコピー」

 職場のコピー機の話。

 「メニュー」を押すと、「コピー」「ファクス」「スキャナ」などと並んで、「らくらくコピー」というボタンが液晶画面に表示されるのはうすうす知っていた。

 「うすうす」というのは、そういうのがあってもあまり目に入っていなかったということだ(理由は後述)。

 したがって、コピーをするときはいつも「コピー」ボタンを押していた。

 ところが、その後のユーザーインターフェイスが悪くて、ちょっと両面コピーをするのに、最初の画面とは別のタブに切り替え、さらに奥のメニューへ・・・みたいな感じで、とても面倒だった。

 別に、「なんとかそのめんどくささを回避できないか」と真剣に考えたわけではない。先日ふと、「らくらくコピー」というボタンが目に入り、気まぐれにそれを押してみた。

 するとなんと! 看板に偽りなし。らくらくとコピーできるのだ。

 用紙選択・拡大縮小・両面コピー・モノクロ/カラー・濃度設定などのメニューがすっきりと一枚の液晶画面にまとめられており、メニューを切り替えたり階層をたどったりすることなく、簡単に設定が完了する。
 文字も大きくて見やすい。

 それまでまったく利用しなかったのを後悔するくらいのものである。

 だがそこで疑問が湧いてきた。どうしてこちらのボタンが「コピー」ではないのだ?

 通常するようなコピーは、ほとんどこれで用が足りる。その同じことをするために、本来の「コピー」のボタンを押すと、メニューを切り替えたり階層をたどったりしなければならなくなるのである。

 これは当然、「らくらくコピー」を「コピー」にして、現在の「コピー」は「マニアックコピー」とか(まあこれは冗談です)「詳細設定コピー」とかにしておくべきだ。

 たぶん今後も、「らくらくコピー」で間に合わないことは数十回に1回もないのではないかと思う。
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 さて、なぜこれまで、「らくらくコピー」の存在をうすうす知りながら使う気になれなかったか。

 それは、これまで目にしたその種の機能が、人を小馬鹿にしたような機械音痴向けの安易な設計で、かつ、必要な機能が使えない・・・という場合が多かったからだ。
 「シンプルモード」とか「かんたんメニュー」とか「おまかせオート」とか。

 今見ると、愛用のカメラにも「かんたんモード」があったが、明らかに使う気になれないシロモノであった。
 そういえば、大竹しのぶがコマーシャルしていた「らくらくホン」とかいうのもあった。まあ確かに、機械に疎い老人が必要最小限使うのならそれでいいのかもしれないが、ふつうはとても使いものにならない。

 「らくらくコピー」も、たとえば、名ばかりの「オート」が中心で、しかもそれを使うと失敗する・・・みたいなのを漠然と予想して避けていた。
 しかし、違うのである。通常は「らくらくコピー」で必要十分なのだ。「こんなこともあるんだなあ」と、認識を新たにした。

 繰り返すが、富士ゼロックスはぜひ「らくらくコピー」のほうを「コピー」にして、今の「コピー」は「詳細設定コピー」などに変更すべきである。