◆生々流転 ──電力小売り自由化

 正月に実家に帰ったとき、テレビのコマーシャルで電力小売りの自由化を初めて知り、軽い衝撃を受けた。

 東日本大震災後、発送電分離とか電力自由化とかの議論をしていたのは横目に見ていたが、まさか、もう現実になり、正月に知って4月から実際に・・・などとはまったく予想していなかった。
 新聞を読むのが趣味みたいなものなのに、どうして知らなかったんだろう。ちゃんと報道されてたんだろうか。

 それに、より重要な(気がする)発送電分離の方はどうなっているんだろう?
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 それはともかく、手間もお金もかからずに電力会社?を選べるというものだから、ちょっと調べて結局は大阪ガスに変えることにした。検討開始から申込み完了までものの30分ほどである。
 (kakaku.comで調べると、利用可能なすべての会社の料金シミュレーションができるようです。)

 まさか、大阪ガスから電気を買うことになるなんて・・・

 いや、それよりも、関西電力との縁が切れることにちょっとした感慨を覚える。
 生まれてこのかた関西以外に住んだことはなく、必然的にずっと関西電力のお世話になってきた。それがこんな形であっさり終わるとは、予想だにしなかった。

 数年前には、NTTとも縁が切れた。
 前身の電電公社の電話が開通したのは、忘れもしない小学校1年生の夏休みだ。申し込んでから2年も待たされた。日本中の庶民が自宅に電話線を引くタイミングだったのだろう。
 今となっては信じられないが、それまでは家に電話がなかったのである。
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 関西電力電電公社のような超巨大インフラ企業ですら、同じようには続かない。思えば、大学卒業時に13あった都市銀行は、すべて!その形を変えてしまった。

 あの年には、銀行への就職も少しは考えていて、その時点では、どの銀行もすべてはそのまま、少なくとも自分が死ぬまでは安泰だと(漠然と)思っていたのに。

 祇園精舎の鐘の声、娑羅双樹の花の色、である。

 とはいえまあ、関西電力だってNTTだって、都市銀行だって(北海道拓殖銀行を除けば)みんななんとかやっている。私と縁が切れようが、そんなものは何でもない。

 でもいつか、大阪ガスとも縁の切れる日が来るのだろうか。来るとすれば、それはいったいどういう形になるんだろう?