●Google Map 恐るべし
うちの近所に「日本最大級の大型複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」」なるものが開業した(こんなことを書くと、居住地がばれるなあ)。
グランドオープンには徹夜組まで出たそうだが、そんなものができようができまいがわりとどうでもいい。
だが問題なのは、周辺の渋滞である。
現在でも、サッカーの試合なんかがあったりすると万博周回道路とその周辺が大渋滞して大変なことになることがある。
そのサッカースタジアムも移転・新築され、なんと現在の倍近い4万人収容になるそうだ。
2つとも、迷惑施設以外の何ものでもない。
今でも、サッカーの大歓声がすぐ近所で騒いでいるように聞こえてきたりして、夏場なんかはゆっくり映画も見られないくらいなのに。
さて、エキスポシティ。
グランドオープンの3日前からプレオープンで、そのころから渋滞を気にしていた。何しろ、遠い方の職場へは車で行くので、勤務にも差し支えかねない。
手近なところで iPhone 6 Plus の Google Map を使い、何度も渋滞を確認していた。
幸いというか、グランドオープンの昨日も大した渋滞にはならなかったようだし、今日も大丈夫だった。この土日が初めての修羅場になるだろう。
驚いたのは、Google Map の渋滞情報の詳しさ精確さである。
「どうしてこんなところの渋滞がわかるのか」というような、近所のローカルな道までオレンジや赤で渋滞が表示されている。それも、500mとか1kmとかではなく、ごく短い区間でも車の流れが悪くなっているとそれがわかるのだ(ちょっと表示されすぎだけど)。
こんな情報をリアルタイムで得るのは不可能なはずである。
渋滞監視のセンサーはこんなに細かく設置されていないし、されていたところでその情報が Google に渡っているとも思えない。
自分でその仕組みを考えればよかったのだが、悪い癖ですぐ調べてしまった。
なんと!(というか当たり前のことに)、Google は私たち自身の位置情報で渋滞を把握していたのだ!
スマートフォンなんかで Google Map を使うほとんどの人が、位置情報をオンにしている。そうしないと、現在地が地図に表示されないので、当然のことだ。
ところが、その位置情報は自動的に Google に送られ、たとえば渋滞の把握に利用されているのである。要するに、車に乗っている(と判断された)私たちの位置の動きが鈍くなれば、それはすなわち、渋滞しているということになるのだ。
おそらく、他のさまざまなことにも位置情報が利用されているに違いない。
「そんなことに利用していいと Google に伝えた覚えはない」などと言ってみても、私たちはおそらくどこかの段階で、内容も読まない書類に、わけもわからず「同意」とか「Agree」とかをクリックしたりタップしたりしているのである。
昨今はやりの「ビッグ・データ」が、こういう形で利用されているんだなあと、ちょっとした感慨を覚えた。
自宅の居間にいる今この瞬間にも、Apple も Google もその他もろもろのアプリの会社も、私の位置を把握しているのだ。あ、au も。
まあ、au 以外、位置情報は個人情報と結びつかず、匿名化されて処理されるとかなんとか、そういうことになっているとは思うのだが、いずれにせよ、あんまり気持ちのいいものではない。
しかし実際、Google の渋滞情報は、日本道路交通情報センターなんかのそれよりよほど役に立つ。
マイナンバーや監視カメラなんかもそうだが、私たちはプライバシーを捨てることでしかその恩恵には与れない。
現状はまだいいのかもしれないが(ほんとにいいのか?)、どこかに引かなければならない一線がずるずると移動してしまわないよう、私たちはある程度敏感になっておく必要がある。