●「北海道は、○○○の大地だ。」
「北海道は、開拓者の大地だ。」
と書いた巨大バナーを掲げていたそうだ。
ご丁寧に、左肩には HOKKAIDO RRIDE とある。
「掲げていた」と過去完了形になっているのは、現時点ではもう撤去されているだろうからである。「配慮に欠けたことはおわびすべきだとの理由から、速やかに取り下げる判断に至った」(asahi.com)という。
フツーの日本人に、何が「配慮に欠け」ていたかわかるだろうか。
おそらくは、ほとんどの人がわからないだろうと思う。
長くなるが引用しよう。
北海道を中心に先住していたアイヌ民族は、明治以降に北海道開拓が本格化したことで、先住の土地を追われるなどした歴史がある。協会の阿部一司副理事長は「歴史や国際的な動きをもっと勉強してほしい。人権への配慮がなく、まだわかってもらえないのかと情けなくなった」と話した。(asahi.com)
アイヌにとって、「北海道は、開拓者の大地だ」というのは、「侵略者の大地だ」というのに等しい。
そんな当たり前のことにアイヌ以外の日本人がほとんど気づかないのは、ひとえに教育のせいである。上記阿部さんのお気持ちは切実だが、フツーの人々にとって「もっと勉強」するのはなかなかハードルが高いだろう。今回のような残念な事例を通して、少しでも意識する人が増えればと願う(だが一方で、多くの開拓者は侵略者として移民したのではないのも事実であろうし、難しい)。
大人たちへの啓発は困難でも、学校へ通っている世代への教育は可能だ。
たとえば日本がイギリスやフランスやオランダなどとも戦ったこと、オーストラリアのダーウィンを爆撃したりシドニー湾で魚雷攻撃をしたことなど、どれくらいの人が知っているだろう?
それどころか、インドシナやマレーシアやフィリピンやインドネシアやニューギニアなんかで戦争していたことすら知らない人が多い。
自国内のことに関しても、北海道や沖縄のことについてどれだけのことを知っているか。その無知が、現在のアイヌや沖縄の状況を作り出しているというのに。(自戒とともに)
教育に携わる者は、横槍にめげずに大事な事実を伝え、そこから「歴史や国際的な動き」「人権」などについて考えさせる授業を行ってほしい(さすがに理科や数学の授業では難しいかもしれないけれど)。
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当事者たちはもちろん、
と言いたいだろうと思う。その他の者はせめて
という認識を持ちたい。