★ドライブレコーダー

 以前から車にドライブレコーダーをつけたいと思っていた。だが、
 1.納得のいく製品が発売されていない
 2.設置するのが面倒くさそう
 3.設置を頼むとお金がかかりそう
という理由で、二の足を踏んでいた(なぜパナソニックソニー東芝が発売しないのだろう?)。

 ところが、「何かあったときに自分が悪くないことを証明したい」という息子がつけたがるので、バッテリーを交換するついでに何か見繕ってこようと、適当な製品に目星をつけてカー用品店に行った。
 バッテリーを買った店では気が乗らなかったのだが、もうひとつの店に行くと、ものすごく安くなっているのが候補の一つだったので、ちょっと思案した後、買って帰ることにした。
 HD動画が撮れるようなそこそこの製品でも、驚くほど安価になっている。周波数が同期する関係でLED信号が消えてしまう問題も解消されていた。

 早速、息子が運転することのある家人の車に取り付ける。以前ETCを取り付けた時には、カーステレオの裏から電源を取るなど苦労させられたので、今度は素直にシガーソケットから取った。
 内装の一部を外して配線を隠すのはETCの時に経験したので、思ったより簡単に設置できた。
 こんなことなら、もっと早くつけておけばよかった。
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 ただ、つけたのはよかったのだが、早速役に立つ「ような」ことが起こるとは思わなかった。

 ほんの数日のうちに、後ろから「追突」(トートロジー?)されたのである。
 親子連れが横断歩道を渡ろうとしているので停止したところ、1秒後くらいにドンという軽い衝撃があった。
 ミラーを見ると、自転車に乗ったおば(あ)さんが、バンパーにぶつかってこけそうになっていた。
 幸いこけることはなく、私の車の左横をすり抜けて「当て逃げ」していった。
 一瞬、目が合う感じになったのだが、向こうは会釈すらしない。何を考えているのかよくわからないのだが、止まっている車にぶつけたことくらいまったく何とも思っていないのか、気が動転して逃げるのに必死だったかのどちらかだろうか。
 逃げるならUターンしていけばいいのに、あくまで自分が行きたかった方向へ、まだ停止している被害者の車のすぐ横をすり抜けていくあたり、厚かましいのか無自覚なのか、わけがわからない。

 まあ、追突なので、ドライブレコーダーがなくてもこちらに非がないことは明らかなのだが、それでもやはり、
 ・ほとんど徐行程度の速度で走行していたこと
 ・横断歩道手前で歩行者のために停止したこと
 ・急停止ではないこと
がはっきりと残るため、万一何か問題になったときには安心である。幸か不幸か、相手が逃げて問題にならなかった。
 バンパーには、ゴムが擦れた痕跡の中に、タイヤについていた砂によると思しき浅い傷が数筋残っていたが、16年ものの車であってみれば、ほとんど気にもならない。

 どんな形であれ、追突なんてされたのはたぶん25年ぶりくらいなので、ドライブレコーダーをつけてすぐにこんなことがあるのは不思議だった。

 その後、同じ日に、これも自転車のおば(あ)さんが、完全に信号無視をして目の前の交差点に左から飛び出してきたのにも驚かされた。
 はねるとかひくとかいうタイミングではなかったものの、ほんの1〜2秒のことでそうなりかねなかった。そういうとき、ドライブレコーダーがなければ、どちらが青だったかと水掛け論になってしまう可能性がある。こちらがばっちり青で、向こうがかなりのスピードで飛び出してきた映像は、だから人生を左右しかねないほどの意味を持つかもしれないのだ。
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 やはりこれは役に立つぞと思って、自分の車にも同じのをつけてみた。

 装着して初めて乗った日、自宅からそう離れていないところで、今度は車に乗った初老の女性が右から出てきた。
 こんなに見通しのいいところなのに、どうして完全にぶつかるようなタイミングで出てくるのか理解に苦しむ。こちらが明らかに優先道路で直進、先方から見るとT字路になっている。なのに、こちらの進路をふさぐように右折してくるのである。
 左のAピラーの死角になっていたのかもしれないが、それにしても、こちらは自転車でもバイクでもなく、普通乗用車なのだ。それが見えない程度の安全確認しかしないのなら、車になど乗らない方がよい。
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 ドライブレコーダーをつけると、自分の運転も常に見張られていることになるので、心なしかいつも以上に運転が慎重になる。それなのにこんな災難に続けて遭うのはなぜなのだろう。

 役に立たないのが一番である機械が、早速役に立ちそうな気配を漂わせていて、少し戸惑っている。


 後記:注文していた部品が到着したので、自分の車の方はヒューズボックスから電源を取り出す方式に変更した。見た目の問題もあるが、シガーライターがまさかの常時給電!だったのが最大の理由だ。挿しっぱなしにしていると常に作動してしまうため、乗り降りの際に挿したり抜いたりする必要がある。その面倒をなくすために、イグニッションオンで電源供給が始まるようにした。配線も上手く隠せてちょっと悦に入っている ^^;