■おおいぬ座のシリウス

 「おおいぬ座シリウス」というのは、「こと座のベガ」みたいなのとならんで、子どものころから慣れ親しんだ言葉なのだが、太陽を除けば全天でもっとも明るい恒星であるシリウスはともかく、「おおいぬ座」というのがどういうものなのかはほとんど考えたことがなかったし、おそらく簡単には見られないんじゃないかと思っていた。
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 夜10時前後に家を出ると、かつては東の空の低いところにあったシリウスが、南の空の比較的高いところに移動している。
 時刻はほとんど変わっていないので、恒星の位置が変わるのは季節が進んでいることを意味する。
 それにしても、気がつくとほぼ真南だ。いつの間にこんなに時が流れたんだろう?

 シリウスの高度が上がり、今まで見えなかった星が見え始めた。右に一つ、左下に二つ。
 明るい空に悪い視力のことゆえ、何とか見える程度なのだが、見えるからには2等星だろう。1等星の数は多くない。
 シリウスを含めて4つをつなぐと、いびつな台形を縦に起こしたみたいに見える。

 あの3つはなんていう星なんだろう・・・

 と思って例によって Star Walk で調べると、なんと、その4つの星こそがおおいぬ座を構成する主要な星々なのであった。
 シリウスを除く3つはやはり2等星で、もう一つ、さらに左下に2等星があるらしい。

 人生も後半に入るまでおおいぬ座すら知らなかったなんて・・・

 もう少し空が暗く、視力がよければ言うことはないのだが、贅沢は言うまい。

 毎晩のように星空を見上げる機会ができ、ほんの小さな発見が積み重なっていくことに感謝したい。