■「友だち」の定義

 若い女性から「「友だち」の定義って何ですか?」と聞かれた。もしかすると「友人」だったかもしれない。

 そういうのは、30年以上考え続けてすでに単純明快で絶対的な結論が出ている。
 私の定義は「用がないのに会う人」だ。

 「だとすると、私には友だちがいないことになってしまいます」と彼女は言う。
 「じゃあそうなんでしょう」とかクールに(すみません)言っていると、別の男性が「「用」の定義が違うんじゃないですか」と割って入ってきた。
 なかなか知的な会話である(笑)

 なるほど、シンプルな定義を作っても、その中にもまだ定義の必要な語が残っているのは面白かった(あとは大丈夫だよな? 「ない」「会う」「人」・・・猿は友だちになれない)。
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 それをえんえん考え続ける場でもないので、その辺でおさめようとしていると、また別の女性から、「ネットの友だちはどうですか?」という質問が出た。

 とっさに、「ネットの友だちというのは、基本的に用のない連中ばかりだから、みんな友だちです」といい加減な返事をしてしまった。

 もちろん、ネットに魑魅魍魎が蠢いているのは承知しているし、私自身、実験的にではあるが魑魅魍魎を演じたことは何度かある。その点に対する注意喚起は必要だが、それを別にすると、反射的な答えのわりにはまあまあかなあという気がしていた。

 だが、彼女の聞きたかったのは別のことだったのかもしれないと後で気づいた。
 真意はおそらく、「ネットには顔をあわせない友だちがいるのだが、それは友だちと言えるのか」という疑問だったのだと思う。
 私が、「用がないのに会う人」と答えたからだ。
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 さて、偉そうに「30年以上考え続けてすでに単純明快で絶対的な結論が出ている」と書いたのだが、あっさりと覆されてしまった。

 何十年も顔をあわせていない友だち(30年ぐらい会っていない年賀状フレンドは当然いる)、あるいはまた、一度も顔をあわせたことのない友だちというのがもし私にいるならば、私は自分の友だちの定義を書き換えるべきなのかもしれない。

 たとえば・・・

  ピーちゃんの身元引受人さん伊与田さんkanさんAshgardenさん・・・ 友だちでしょうか???