◆昼食に、ン時間
郊外のデパートに買い物に出るついでに何かおいしいものでも食べようということになった。
家人が選んだ二つの店に電話したのだが、いずれも満席で断られる。ほんと、どこが不景気なのかと思う。
そのときふと、数年以上前から評判を聞きつけ、いつか行きたいと思っていた店があるのを思いだした。電話してみると、幸い、空いているという。
デパートでは日常の必需品以外に1円も使わず昼食に向かう。不景気だとしたら、私みたいに金を使わない奴がいるからだろうと思った。
ブログで調べてみると、このデパートに来るの自体が2年以上ぶりだ。前回来たとき「これからはちょくちょく来よう」とか言ってたのに。
さて、件の有名フレンチレストランに着いて、値段を見てちょっとびっくりした。
ランチだと思ってなめていたのだが、一番安いのでも3千数百円するのだ。もしかすると、昼食価格の最高記録かもしれない。
だが今さらやめるわけにもいかず、また、やめることを真剣に検討しなければならないほどの経済状態でもないので、諦めて扉を開ける。
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初めてのレストランに向かうときにはネットで評判を調べるのがふつうになっているが、今回はリアルライフでそのおいしさを聞いていたので、その手順は省略していた。
それにしても、行きたいと思い始めてから10年近く行か(け)ないなんて、そりゃ年も取るよなあと思う。
出されたパンはおいしいのだが料理がなかなか出てこないので、無沙汰の慰みにネットでの評判を見てみようと思い、iPhone を取り出す。
そこに出てきたのは・・・
「とにかく時間がかかる」ということ!
いや、おいしいのは素晴らしくおいしいらしいのだが、ちょっと信じられないぐらい時間がかかるというのだ。
怒っている人の書き込みなどは、ランチで3時間かかったと書いてある。ディナーでは4時間半という記載も。
なるほど、夫婦で来るような店ではないようだ。
前菜が出るまで1時間とも書いてあったので、それはさすがに・・・と思っていたところ、幸いというか、入店から20分で供された。
ちょっと驚きのボリュームとおいしさ。
これがメインで、あとご飯があればもういいという感じである。それで1000円のランチとか無理でしょうか?
その後もおいしいスープとメインが続き、デザートの前にはお口直しのシャーベット。そして、デザートの後にはコーヒーとお菓子。
なんか、デザートが3回という感じである。
結局、3時間ではなかったが、2時間半かかった。
しかし、この規模のフレンチの店を、ランチとはいえたった一人でやっているのが信じられなかった。
いや、一人だから遅いというわけではなく、スタッフが複数いたときも同じぐらい時間はかかっていたらしいのだが。
ちょうどデザートが終わるころ、求人応募の電話があり、まもなく人が入ることがわかる。
その暁には、是非、ランチは2時間以内、ディナーは3時間以内に終えられるよう、仕事を組み立てなおしてほしい。
まあ、この価格では、次に来るとしても数年後になるかもしれないけれど。
それにしても、時間がかかると知ったとはいえ、2時間半のランチに 待たされすぎ感 がなかったのはどうしてだろう?
料理がおいしかったから?
夫婦でも、まだ何とか会話があるから?
それとも、iPhone があったから?