★名も知らぬ世界遺産

 クロアチアのホテル(というより小屋)にはネット環境がなかったので、ハンガリー南西部のケストヘイという小さな街からこれを書いている。

 クロアチア世界遺産プリトヴィツェ湖群国立公園は素晴らしかった。

 個人的に、アメリカのイエローストーン国立公園に次いで、世界2位の地位を与えたい(アフリカと南アメリカに足を踏み入れたこともない男のタワゴトとお聞き流しください)

 問題は、イエローストーンには子どものころから憧れていて、訪れるのが人生の一つの夢にさえなっていたのに、プリトヴィツェの方は今回の旅に出ようとして初めて知ったことである。

 世界遺産には1979年に登録されている。もちろん、旧ユーゴスラビア時代のことだ。
 日本で世界遺産世界遺産と騒ぎ始めたのはせいぜいここ10年ぐらいのことだと思うが(どうして急に騒ぎ出したんだろう?)、もう三十数年前の社会主義連邦共和国時代から世界遺産なのである。まだチトー(パルチザンの英雄にして終身大統領)が存命の時だ。

 そのプリトヴィツェ湖群国立公園を、つい数か月前まで知りもしなかったし聞いたこともなかった。
 いったい、この世界には、他にどれだけ素晴らしいところがあるのだろう。

 大自然としても観光地としても、そのバランスの取り方においても超一級だ。

 残念なのは、観光客が多すぎたことと、中にいくらか不心得な者がいたことぐらい。

 その観光客も減った夕刻、標高の高い湖から緩やかにトレイルを下っていくのは、ほとんど至福の時といってもいいぐらいであった(9年目に入っているこのブログで、自分の感情として「至福」ということばを使ったのはなんと初めてであるようだ)。

 この滝がハイライト、この湖がハイライト、と思って歩いて行くと、どこまで行ってもまた次のハイライトが訪れて驚かされる。

 はるかクロアチアの田舎のこと、遠い将来になってしまうとは思うが、ぜひ違う季節に再訪してみたい。