★今ごろ旅行ガイド

 数日後には出発だというのに、旅行ガイドもあんまり見ていない。

 現実感がないので、真剣に旅程を検討する気力も沸かないのである。

 まあ、以前のグアムやサイパンのように、出発する空港でガイドブックを買うなどという恐ろしいことはせず、かなり前に『地球の歩き方 中欧』は買っていた。
 しかしこれは14か国もが1冊になった550ページほどの本で、たとえばスロベニアに関して掲載されているのは、首都のリュブリャナとピランという港町、それにブレッド湖のみ。
 いくら四国と同じぐらいの広さとはいえ、これでは高松と宇和島早明浦ダムみたいなものである。それぞれに割かれたページ数だってごくわずかだ。

 日本のテレビで特集番組が作られるほどの、中世の面影を残したマリボルという素敵な街があることを偶然知ったのだが(松山みたいなポジションかな?)、その記述は1行もない。情報がないところは訪問する候補にすらなれないのである。

 そのマリボルが、オーストリアのウィーンからプリトヴィッツェ湖群国立公園(クロアチアにある世界遺産)へ行く途中にあることを知って、そこで1泊することにした。距離的にもちょうどいい。たぶん、Thank God. である。
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 まあ、プリトヴィッツェから先の旅程は何も決めていないし、旅先でたまたま知ったところに立ち寄るというのはこれまでにもよくあったのだが、偶然が味方してくれなければ、すぐそばの道路を何も知らずに通過していく可能性だって高い。たとえ30分でも1時間でも、休憩がてら観光すれば素晴らしさを感じられる場所はいくつもあるのに。

 そういう場所の候補を知るには『中欧』ではいかにもおおざっぱすぎる。そもそも、行く予定のない国が半分以上掲載されているのだ(ボスニア・ヘルツェゴビナとかウクライナとか、ちょっとだけなら行ってみたいけど)。

 そこで急遽、『ハンガリー』と『チェコ ポーランド スロヴァキア』と『クロアチア スロヴェニア』の3冊を買うことにした。

 出発までにちゃんと配達されるように、節を屈して「Amazon プライム会員無料体験」というのに申し込む。もちろん、本を手に入れたらすぐ退会するつもりである。

 ああ、でも、Amazon ですら『ハンガリー』は品切れなのだ。出発までに買えるだろうか。