●京都散策

 息子が京都の大学(「の」がなければ言うことはないのだが、あいつなりに地道にがんばっていたのを知っているので、素直に喜んでいる)に進学することが決まったので、先週末、梅見やらを兼ねて一緒に京都に行ってきた。

 家族3人で実家以外に「お出かけ」するのはどのぐらいぶりだろう? もしかすると、2年半ぶりとかかもしれない。
 まあ、いずれにせよ、もう親と一緒に外出する年齢でもなくなってしまった。自分のことを考えれば、親が大学に来たことなど1度もなかったと思う。いや、高校でさえ多分そうだった。

 これまでなぜかまったく縁のなかった大学だし、縁ができるような気もしていなかったので、所在地もろくに知らなかった。ましてやキャンパスに入ったこともない。
 駅からの遠い道のりを、息子が一人で歩き、かなり離れて夫婦もついていく。

 《中略》

 行きは風情のないわかりやすい道を使ったが、帰りは京都らしい小路を使って散歩がてら戻る。
 期待していたビストロの場所がわからなくて電話すると、今年から昼間の営業をやめているというので、まあここでもいいかという感じのカフェで昼食にする。
 これが妙なところで、50代ぐらいの内気そうなおじさんが一人でやっている。

 メニューの中に「12:00から18:00までは間違いなくやってます」と書いてあったのに、出るとき、看板が「準備中」になっているので、だれかがいたずらでもしたのかと思った。
 「いいんですか?」と聞くと、「客が多くなるとドキドキしてしまって焦るので、あまり入ってこないようにしている」という。私たちが出るとまた営業を再開するらしい。

 コストパフォーマンスの高いランチを出していて、ケーキ類とかもおいしそうだった。すぐ近くに長蛇の列の食堂があるのにここは空いていたし、何より、このレベルの店で私たちの後に客が入ってこないのが不思議だったのだが、まさかそんな理由だったとは・・・

 神社をはしごして、満開近い梅を見たり蕾も出ていない桜を見たり。
 最後に、私自身はたぶん40年ぶりぐらいではないかと思う鹿苑禅寺金閣舎利殿を訪れる。恥ずかしいぐらいの世界的観光地だ。
 20世紀半ばの再建とはいえ、やはり圧倒的な存在感である。

 歩き疲れたので駅までタクシーで戻る。日本でタクシーに乗ったのも何年ぶりだろう?

 京都はもちろん嫌いではないのに、もと暗しで滅多に行かない。これから毎日のように通う息子を羨ましく思う。

 楽しい学生生活になることを祈りたい。