◆「私の気持ち」は作られる
「自由意思」というものが神聖視され、「法に違反せず人に迷惑をかけなければ自由」だということがよく言われる。
基本的にはそのとおりだと思うのだが、その「自由意思」がどのように作られているのかということはしばしば忘れられている。
何だかたいそうな書き出しになってしまったが、先日、エステティックサロンのダイエット広告を見てかなり驚いたことがこれを書く動機になっている。
どちらのスタイルがより理想的、あるいは魅力的だろうか。
もちろん、それこそ「自由な」好みはさまざまであろうが、何か月かの時間とかなりのお金をかけ、食べるものを制限し、その他の努力を重ねて左から右になりたいという女性がどのぐらいいるのだろう。
「そんなヤツおれへんやろ」といいたくなるのだが、たぶんたくさんいるから、これが商売になるのである。
ちなみに、左側は身長168cm、体重50.1kgで、ウェストも59.2cm。体脂肪率は18.1%だそうだ。
BMI計算ソフトに身長と体重を入れてみると、17.8と表示され
「あなたは痩せすぎです」「理想体重まであと+12kg」
と言われてしまう。12キロ太るべきだと言われているのに、エステに30回以上通って6kgも落としているのが右側だ。
痩せたい女性たちには違って見えるのだろうか。
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こういう広告が、左側ですらない世の女性たちに「痩せなければ」という強迫観念を作り出し、彼女らは「自らの意思で」痩せようと努力する。
そして、その努力ができない人は自己嫌悪に陥る。
一体何のための努力であり、自己嫌悪なのだろう?
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自分の自由な意思や考え、「私の気持ち」というものが、いったい何によって形成されてきたのかと日々問い直すことは非常に重要だと思う。