★おうちカフェ

 (つづき)

 酒が飲めない。

 それに変わる好みの飲み物もない。

 仕方ないので、牛乳やらヨーグルトやらフルーツカルピスやらを飲んでいる。
 朝は毎日ミルクティ。仕事の合間にはインスタント、帰宅時にはペーパードリップのコーヒーを飲む。夕食時には、夏は麦茶、冬は日本茶

 どれもぱっとしない。

 外でパスタなんかを食べたあと、「コーヒー、紅茶、どちらになさいますか」などと聞かれたとき、10年前ぐらいまでは紅茶だったのだが、それ以降、なぜかコーヒーになってきた。
 だが、それほど好きなわけではない。

 いわゆるシアトル系のコーヒーショップが関西にも進出してきたとき、キャラメルマキアートなんかを飲んで、「これこそ自分が求めていた飲み物だ」と一時は盛り上がった。
 今ではその熱は冷めたものの、普通のコーヒーよりはカプチーノなんかの方が好きだ。問題は、そういうものが家では飲めないことだった。

 ところが、そんなものを買おうなんて夢にも思っていなかった全自動のエスプレッソマシンが、個人でも比較的気楽に買える価格で売っているのを知った。数か月前だったか、一度買おうと考えたのだがやっぱり思い直してやめていた。
 先日、何かの拍子にまたネットでエスプレッソマシンが目にとまり、いろいろ読んでいると、かなり満足できるものが安く手に入ることが分かって、勢いで買ってしまった。

 ボーナスでガスコンロなんて・・・と思っていたのも影響した。エスプレッソマシンなら、若干マシである。

 それが昨夕来たので、さっそく使ってみた。だが、ドリップ用の豆に低脂肪乳しかない。条件は悪い。

 驚いたことに、それでもシアトル系コーヒーショップと同じようなカプチーノを堪能することができた。ネットで評判が良かったのもうなずける。
 まあ、私が「違いの分からない男」なのかもしれないけれど、それでも。

 これで、朝はカプチーノにできる。バニラエッセンスでも落とせばプロの味だ。

 インスタントコーヒーに回帰したかと思えばエスプレッソマシン・・・ 成熟社会の振幅は激しいのである。