●営業中に客を断る店

 初めてのイタリアン。

 午後1時40分ごろ入店するやいなや、「いらっしゃいませ」も何もなく、「2時半で閉店ですけどいいですか」との挨拶。その言い方がぶっきらぼうというかなんというか、ちょっと驚いた。
 一人の食事だし、十分時間はあるので了解する。

 客は他に、男一人、女一人。いずれも食事は終盤にさしかかっていた。

 店は30代前半ぐらいの男が2人でやっている。1人が料理、もう1人がその他。どちらが偉いのかはわからない。

 1時54分、女性の何人連れかがやってきた。

 ドアのところまで出迎えた?「その他」の男が「もう店は終わりかけてるんですよ」と、いかにも入ってほしくなさそうに応対する。
 「2時半までなんです」
 「無理でしょうか」
 「そうですねぇ」

 婉曲にではあるが、迷いなく断っているという感じである。「料理」の方も表情も変えず何も言わないところを見ると、同意見なのだと思われた。客は結局、帰っていった。
 よくあることなのだろう。

 でも、確か、ラストオーダーは2時と書いてあったはずだ。
 違ったのだろうかと思っていると、ちょうど2時に「その他」の男が Closed の看板をかけた。

 女性が複数で来ると、35分以内に注文して食事を終えるのは無理だと判断したらしい。それはまあわからないでもないが、開店中に客を断るのも不思議だし、断り方だってもう少し愛想があってもいいのではないかと思った。

 客に食事を提供することよりも、あるいは商売としてお金を受け取ることよりも、とにかく2時半に営業を終了することを何よりも優先しているという印象を受ける。

 ネットでは、850円でデザートまでつくというので評判の店であるらしい。前菜付きの1350円のランチはまあまあだったが、「デザートの盛り合わせ」というにはかなり貧相だった。
 店の中もちょっと雑然としている。

 ふつうなら、ついででもない限りもう行かないかなあと思うが、ちょっと面白いので、今度1時55分に行ってみようと思う。

 男一人なら入店を許してくれるだろうか。