◆Mac 版 Eudora 6.2J から Thunderbird 7 への移行

 偶然にも、Mac OS X を Lion にアップデートしたその前日、Thunderbird 7 が正式にリリースされていたらしい。
 それが果たして良かったのか悪かったのか・・・ 6ならもっと楽だったのか、わからない。

 とりあえず・・・

 一番いいのは、Eudora から既存のデータを移行しようなどど考えないで、ゼロからすっきり、Thunderbird を使い始めることである。

 Eudora のメールボックスもニックネームも、その実体は単なるテキストファイルなので、必要に応じてエディタやワープロで検索することはいつでもできる。Thunderbird を一から使い始め、すっきりと新しいスタートを切ってその流儀に慣れるのが正しい方法だろう。
 やたらに過去を振り返ったり、ましてや、過去を引きずったりしてもいいことはほとんどない。いずれにしても、もう Eudora には戻れないのだ(何だか、人生訓のようですね(笑))。

 それがわかっていてもどうしようもない、私のような人間のために以下を記す。過去をずっと手の内に持っていたいという衝動もまた、抑えがたいのだ。

 真面目な話、私の場合は、Thunderbird のメールボックスを暗号化した別ボリュームに持っておきたいという希望があった。最高機密?は別として、けっこうセンシティブなメールや個人情報ファイルなんかをばんばん送ってくる人がたくさんいるので、仕方ないのだ。
 パソコンを盗まれたりなくしたりして新聞などで報道された人も同じ職場に数人はいる。少なくとも、「暗号化していたから情報漏洩はない」というような状態にしておかねばならない(FileVault は諸般の事情により使用していない)。

 それが Mail より簡単にできそうだったので Thunderbird を選んだ。

 Eudora の場合、設定ファイルやメールボックスを含んだ Eudora Folder ごとどこかにコピーし、その中の設定ファイルをダブルクリックして立ち上げれば、それだけで何の問題も起こらなかった。「パーソナリティ」機能を使わずに、アカウントの数だけ同じようにコピーして使える。フォルダ名や設定ファイルの名前を変えてもかまわない。その便利さが Eudora から離れられない最大の理由だった。
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 前置きが長くなった。以下はできるだけ簡潔に、MacEudora 6.2J から Thunderbird 7 へ移行する際の手順や注意点について記す。細かく書いているとキリがないし、忘れてしまった部分もあると思うので、申し訳ないが、必要に応じてネットを検索したりしながらやってみていただけるとありがたい。お役に立てれば幸いである。

 Lion にアップデートする前に移行してしまうのが手間がかからなくていいと思う。

 ライオンにアップデートすると、ユードラだけでなく、いろいろなツールも使えなくなってしまう。したがって、アップデート前に準備が必要だ。↓のエントリで「周到な準備」と述べた所以である。

  「やっちゃった」方は、いったん Snow Leopard に戻すか(MacBook Air だと小一時間以下)、別のマックで作業を行い、ファイルをコピーする必要がある。わたしもやってしまったクチだ。

0.Eudora Folder は、移動していなければ「書類」フォルダの中。念のため、バックアップをとっておく。
 既に Thunderbird を起動したことがある場合は(まったく動かしたことがない場合、もしかすると下の1がうまくいかないかもしれない)、同様に、アカウントの「ライブラリ」の中の Thunderbird フォルダをバックアップしておく。
 なお、Lion では、アカウントの中の「ライブラリ」は通常表示されないので、Finder の「移動」メニューを表示させる際に option キーを押し続けて「ライブラリ」を選ぶ。

1.メールボックスの移行
 Eudora Mailbox Cleaner(現在のバージョンは4.9)を使って、Eudora Folder をコンバートする(Lion ではできない)。
 ・ソフトはここ
 ・解説はここ(ありがとうございました)。
 ・何度か不正終了したが、めげずに繰り返せば完了した。
 ○Lion にしてしまっていて、別のパソコンでこの手順を行った場合、自分のアカウントの中の「ライブラリ」フォルダの「Thunderbird」→「Profiles」→「12abc345.default」(.defaultの前の名前はいろいろ)→「Mail」ファイルの中味を Lion 側のパソコンの同じ場所にコピーすればよい。

2.ニックネーム(アドレス帳)の移行
 A.Eudora Folder の中の Eudora Nicknames をテキストエディタで開き、文字コードUnicode(UTF-8)にして保存し直す。これを怠るとうまく移行できない。
 B.Thunderbird で「ウィンドウ」メニューから「アドレス帳」を開き、「ツール」メニューから「読み込む...」を選ぶ。
 その際、「アドレス帳」→「Eudora」と読み込むのだが、本来の位置(「書類」フォルダ内)にある Eudora Folder の Eudora Nicknames を自動的にコンバートするので、Aで UTF-8 にしたファイルを Eudora Folder 内に置いておく。
 C.そのままでは、相手先にニックネームが丸見えになるので("たなか"<tanaka@mail.com>のように)、「ツール」メニューから「アドオン」を選び、Auto Address Cleaner をインストールしておく。

 以上でとりあえず、移行できるはず。以下は物好きな方のために。

3.メールボックスの場所の変更
 A.事前に、上記「Mail」ファイルを任意の場所にコピーしておく(私は念のため、「Profiles」階層以下すべてをコピーした)。
 B.「ツール」メニューから「アカウント設定...」を選び、「サーバ設定」(アカウントが複数ある場合は複数)と「ローカルフォルダ」の中の「メッセージの保存先」で、該当アカウントの名前がついたフォルダを指定する。
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 昨日はこれ以外の面でもさんざん手こずらされた。たとえば・・・

サンダーバードを立ち上げていないのに、起動しようとすると2つ同時には動かせない旨のメッセージが出て使えない。これは、別名の「***.default」フォルダ(上記)が既に存在するとそうなってしまうらしい。移動か削除して立ち上げ直す。

サンダーバード本体はアプリケーションフォルダに置いておかねばならない。外に置くと、まったく正常に動くように見えて、受信だけができなかった。できないのは受信だけなので、原因がなかなかわからない。

・メールボックスを別ボリュームに置いている場合、それをマウントせずにサンダーバードを立ち上げてしまうと、せっかくの努力が元の木阿弥になってしまう。暗号化したボリュームをマウントしてからサンダーバードを動かしたいが、アプリ本体は移動できない。
 そこで、暗号化したボリュームにエイリアスを置き、それを Dock に置くことで、マウントしていない場合はサンダーバードが立ち上がらないようにした。

・メールアカウントを手動では設定できない。そんなはずはないと思うのだが、途中から?何度試みてもそうだった。自動でサーバをあたろうとし、それが失敗すると、サンダーバードが予想したサーバ名と異なる場合は、手動で設定する方法がない(「手動設定」ボタンも「アカウントを作成」ボタンもグレーで押せない)。今でもちょっと信じられない。
 解決する方法としては、サンダーバードを立ち上げてユードラの設定ファイルからアカウント情報を読み込み、必要に応じて変更する。これだと手動での設定が可能。

 こんなところかなあ・・・

 以上がわかるまで、けっこう手間暇がかかった。これから移行する方の労力が少しでも減れば幸いである。